EL-15電気設備

変圧器容量選定(需要率・力率・不等率対応)

次はこんな計算どうですか?

この計算と合わせて使われることが多いツールです

解説

変圧器容量選定は、 建物内の照明・コンセント・空調・動力などの設備容量(kW)を集計し、 力率で皮相電力(kVA)に換算したうえで、需要率と不等率を加味して キュービクル変圧器の必要容量を決める計算です。 本ツールは内線規程 JEAC 8001 と高圧受電設備規程の標準的な係数を採用し、 負荷を1行ずつ追加するだけで合計需要 kVA・必要容量・JEM 標準容量への推奨値を即時表示します。 年間電気料金の試算は 電力量・電気料金概算 を併用してください。

計算式と記号

実用設計で広く採用されている標準的な計算式は次の通りです。 kW で記載される設備容量を機器ごとの力率で kVA に換算し、需要率を掛けて実負荷を出してから、 全体を不等率で割り、最後に余裕率を掛けて変圧器容量を決定します。 進相コンデンサで力率を改善すれば必要 kVA を圧縮できるため、設計初期段階で 力率改善コンデンサ計算 を併用すると変圧器のサイズダウンに寄与します。

kVAi = kWi × Ni / cos φi (機器ごとの皮相電力)
需要 kVAi = kVAi × Di (需要率を掛けた負荷分)
合計需要 = Σ(需要 kVAi) / F (不等率で割る)
必要容量 = 合計需要 × m (余裕率を掛ける)
推奨容量 = JEM 標準シリーズから ≥ 必要容量 の最小値
記号説明
P (kW)機器1台あたりの設備容量(有効電力)
N同種機器の台数
cos φ力率(kVA = kW / cos φ)
D需要率(最大需要電力 / 設備容量、0〜1)
F不等率(個別最大の合計 / 合成最大、≥ 1.0)
m余裕率(増設・温度上昇の補正、1.10〜1.20)
必要容量変圧器に求められる皮相電力 [kVA]

用途別の標準需要率・力率

本ツールでは内線規程と建築設備設計の慣行に基づき、用途別の標準値をプリセットしています。 実建物では運用パターンに応じて補正してください。 商業ビル・テナント物件の場合は、テナント占有率・営業時間に応じて需要率を 0.5〜0.8 の範囲で調整するのが一般的です。

用途分類cos φ需要率 D特徴
一般照明(LED・蛍光灯)0.950.7事務所・店舗の照明、高力率タイプ前提
コンセント0.850.4OA機器・小型家電、同時使用率は低い
空調(パッケージエアコン)0.850.7ビル用パッケージ、インバータ式は cosφ 0.95 程度
換気ファン0.850.6居室・厨房・駐車場の送風機
給排水ポンプ0.850.7揚水・排水・冷却水ポンプ
エレベーター0.70.5昇降機、低負荷時間が多く需要率は低め
厨房(電熱)1.00.5電気フライヤー・電気釜などの抵抗負荷
電熱(ボイラ等)1.00.7電気ボイラ・温水器・床暖房
一般動力0.850.6コンプレッサ・コンベア等
EV 充電1.00.5普通充電・急速充電、インバータで cosφ ≒ 1

JEM 標準容量と余裕率の考え方

変圧器の標準容量は JEM 1500(電力用変圧器)および JIS C 4304(油入)/ JIS C 4306(モールド)で 以下のラインに統一されています。計算で求めた必要容量以上の最小値を選定し、 将来の増設余地と短絡耐量の観点から一段上の容量も同時に検討するのが実務の常套手段です。 変圧器容量が決まったら、その二次側に流れる短絡電流を 短絡電流計算 で求め、必要な遮断容量を持つ ブレーカー選定 を行ってください。

標準容量 [kVA]代表的な適用
5 / 10 / 20 / 30小規模事務所・店舗・住宅用
50 / 75 / 100中規模店舗・小規模ビル・小工場
150 / 200 / 300中規模ビル・複合店舗・中工場
500 / 750 / 1000大規模ビル・大型工場・データセンター
余裕率 m の選び方
  • 標準: m = 1.10〜1.20(増設見込みなし〜軽微)
  • 増設予定が明確: m = 1.20〜1.30
  • テナント変動が大きい: m = 1.30〜1.50
  • 変圧器は連続定格 100% 運転より 負荷率 60〜80% が損失・寿命の観点で最適

注意事項

  • 電灯系・動力系の系統分離: 実設計では電灯トランスと動力トランスを分けるのが一般的です。 本ツールはまず合計容量を概算するシンプル版で、系統分離は別途検討してください。
  • 非常時容量は別軸: 停電時に防災負荷を運転する場合、平常時の変圧器容量とは別に始動 kVA・短時間過負荷を考慮した 非常用発電機容量計算 が必要です。
  • 二次幹線の電圧降下確認: 変圧器容量が決まったら、二次側幹線の長さ・サイズに対して電圧降下が許容範囲に収まるかを 電圧降下計算 で確認してください。
  • 高調波負荷比率: インバータ駆動・UPS が多い系統では実効負荷 kVA が増加するため、力率を 0.85 より低めに見積もるか 高調波対応 K ファクタ変圧器(K-13・K-20)を選定してください。
  • 電力会社協議: 高圧受電(6.6kV)でキュービクル容量を決める際は、最終的に電力会社の供給力協議結果を優先してください。 本ツールは設計初期段階の概略検討用です。

よくある質問