非常用発電機容量計算(4係数法・始動kVA考慮)
防災負荷リストから RG1〜RG4 の4係数を並列計算し、必要発電機容量(kVA)を自動算出。直入れ/スターデルタ/インバータ等の始動方式に対応し、JEC 標準容量への推奨値も即時表示。消防予第186号準拠の簡易版。
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解説
非常用発電機容量計算は、 消火ポンプ・排煙ファン・非常照明などの防災負荷を対象に、 定常負荷だけでなく電動機の始動 kVA・短時間過負荷・高調波の影響も含めて 必要発電機容量(kVA)を選定する計算です。 本ツールは消防予第186号通知および NEGA「NH-1 Ver.4.0S」の出力算定方法を簡略化した 4係数法(RG1〜RG4)に基づき、機器を1行ずつ追加するだけで支配係数と JEC 標準容量への推奨値を即時表示します。発電機側の幹線ブレーカー定格は計算で求めた kVA に対応する ブレーカー選定 も併せてご利用ください。
4係数法の計算式と記号
消防予第186号通知に準拠する自家発電設備の出力算定では、4つの観点から必要容量を算出し、 最大値を採用します。本ツールでは NH-1 厳密式を実用設計向けに簡略化した次の式を採用しています。
RG2 = kVAst_max × Xd' / (ΔV/100) (許容電圧降下)
RG3 = (定常 + kVAst_max × 0.4) / 1.5 (短時間過負荷)
RG4 = Σ(高調波負荷 kVA) × Kh (許容逆相電流)
G = max(RG1, RG2, RG3, RG4) × 0.95
| 記号 | 説明 |
|---|---|
| P (kW) | 機器1台あたり出力(電動機軸出力) |
| cos φ / η | 力率/効率(kVA = P / (η × cos φ)) |
| N / D | 台数/需要率(防災負荷では通常 D=1.0) |
| Sf | 不平衡電流増加係数(バランスなら 1.0) |
| kVA_st_max | 最大始動 kVA(任意1台が始動した時の最大値) |
| Xd' | 過渡リアクタンス(汎用同期発電機 0.20〜0.30) |
| ΔV (%) | 始動時の許容電圧降下(標準 20〜25%) |
| Kh | 高調波負荷係数(インバータ系の補正、1.0〜2.0) |
| G (kVA) | 必要発電機容量(4係数の最大値 × 0.95) |
始動方式と始動電流倍率
電動機の始動方式によって始動電流が大きく変わるため、本ツールでは以下のプリセットを内蔵しています。 スターデルタ・リアクトル・インバータ駆動を選ぶことで RG2(電圧降下)を抑え、 発電機容量を小さくできるのが一般的な設計テクニックです。
| 始動方式 | 始動電流倍率 | 代表的な適用 |
|---|---|---|
| 直入れ(DOL) | 6.5 | 小容量電動機(〜5.5 kW) |
| スターデルタ | 2.5 | 中容量電動機(5.5〜37 kW) |
| リアクトル始動 | 4.0 | 中〜大容量電動機 |
| コンドルファ | 4.0 | 大容量電動機(37 kW以上) |
| インバータ駆動 | 1.0 | 省エネ・始動 kVA 削減 |
| 非電動(ヒーター・照明) | 1.0 | 突入電流のない抵抗負荷 |
消防法の規定と防災負荷
非常用発電機は消防法において厳しい性能基準が課されており、設計値はこれらを満たすように余裕を持たせる必要があります。 発電機二次側に流れる短絡電流の検討は 短絡電流計算 で行い、計算で得た値以上の遮断容量を持つ機器を選定してください。
- 定格負荷で 60 分以上 の連続運転が可能であること
- 燃料容量は最低 2 時間 分以上を確保
- 起動信号受信後 40 秒以内 に電圧確立できること
- 消防用設備等の非常電源として用いる場合、消防予第186号通知の出力算定が必要
注意事項
- NH-1 厳密版との差異: 本ツールは概略検討用の簡易版です。消防審査用の計算書(出力算定書)には NEGA「NH-1 Ver.4.0S」ソフトウェアの出力をご使用ください。
- 始動電流倍率はメーカー実値で再確認: プリセットは標準的な代表値です。実機選定では電動機メーカーの始動特性カタログ値を当てはめてください。
- 同時始動の評価: 本ツールは「最大1台が始動」を前提として最大始動 kVA を採用しています。複数電動機が同時始動する場合は始動同時係数 Cs で補正してください。
- 力率改善との連携: 遅れ力率の電動機が多い場合、力率改善コンデンサの併設で kVA を圧縮できる場合があります。 力率改善コンデンサ計算 と併用して総合検討してください。
- 高調波対策: UPS・インバータ駆動が多い系統では本ツールの簡易な Kh 補正では足りず、高調波歪み解析(フィルタ・専用変圧器)を別途検討してください。