電圧降下計算
配線方式(単相/三相)、ケーブルサイズ、距離、電流値から電圧降下を算出します。JIS標準軟銅線対応。
次はこんな計算どうですか?
この計算と合わせて使われることが多いツールです
解説
電圧降下計算は、 配線の長さ・電流・ケーブルサイズから電圧がどれだけ低下するかを算出し、内線規程の許容範囲に収まるかを判定するための計算です。 特に長距離の配線では電圧降下が大きくなるため、適切なケーブル選定を行うために不可欠です。
本ツールでできること
- 簡易計算(内線規程) — 係数(35.6等)を使った電圧降下の自動計算
- 詳細計算(JIS抵抗値) — JIS C 3001 のサイズ別抵抗値による正確な計算
- 配線方式の切替 — 単相2線・単相3線・三相3線式に対応
- 判定基準の自動適用 — 内線規程 3606-1 / 電技解釈 / DC各規格で自動判定
- URL共有 — 入力条件をURLパラメータで保存・共有可能
入力値の取り方(電流・電圧・こう長)
電圧降下計算でつまずきやすいのが、入力欄に「何を」入れるかです。 電流・使用電圧・こう長の3つについて、現場で入れるべき値を整理します。
| 入力項目 | 入れる値 |
|---|---|
| 電流 [A] | 負荷の定格電流(運転電流)。同一回路に複数の負荷がある場合は合計電流を入れます。 電流がわからないときは 許容電流・ケーブル選定 や ブレーカー選定 から負荷条件をもとに求められます。 |
| 使用電圧 [V] | 電源側(分電盤・変圧器二次側)の公称電圧。単相100V / 200V、三相200V / 400V など回路の電圧を入れます。 電圧降下量(V)そのものの算出に電圧は不要で、降下率(%)・内線規程の適合判定・許容最大配線長を出すときにのみ使用します。 |
| こう長 [m] | 電源から負荷までの片道のこう長。簡易計算式の係数(35.6 等)が往復2線分の抵抗を織り込んでいるため、 往復で2倍にする必要はありません。 |
計算方式の選択
電圧降下計算ツールでは2つの計算方式を選択できます。 実務での用途に応じて使い分けてください。
| 方式 | 計算式 | 用途 |
|---|---|---|
| 簡易計算 | e = K × L × I / (1000 × A) | 現場での概算・打合せ |
| 詳細計算 | e = K × I × R × L | 設計書・テクリク向け |
※ 両者の計算結果の差は通常数%以内であり、実務上大きな問題にはなりません。
簡易計算式の係数(35.6等)の導出
電圧降下計算式の係数 35.6, 17.8, 30.8 は、 銅の導電率(σ = 58 S·m/mm² @ 20℃)と配線方式の係数から導かれています。
| 配線方式 | 方式係数 | 理論値 | 採用値(安全率込み) |
|---|---|---|---|
| 単相2線式 | 2 | 34.5 | 35.6 |
| 単相3線式 | 1 | 17.2 | 17.8 |
| 三相3線式 | √3 | 29.9 | 30.8 |
※ 採用値には温度上昇や撚線構造による抵抗増加分(約3%)が含まれています。
単相3線式の100V/200V負荷: 係数 17.8 は100V回路(電圧線–中性線間)の電圧降下に用います。 一方、単相3線式から取り出す200V負荷(電圧線間)は 中性線を使わず2本の電圧線だけで構成されるため、電圧降下は単相2線式と同じ係数 35.6 で計算します。 本ツールでは配線方式で「単相3線式」を選ぶと「負荷電圧(100V/200V)」の切り替えが現れ、 負荷に応じて係数を自動で使い分けます。
詳細計算の抵抗値(JIS C 3001)
詳細計算では、ケーブルサイズごとの実測抵抗値(20℃基準)を使用します。 撚線構造による抵抗増加も考慮されており、簡易計算より正確な電圧降下を算出できます。
※ 各電線種の導体抵抗(20℃)に加えて許容電流・仕上がり外径・概算質量を一覧で見比べるには 電線・ケーブル早見表 をご利用ください。
小サイズ(0.9〜22 mm²)
| サイズ [mm²] | 0.9 | 1.25 | 2 | 3.5 | 5.5 | 8 | 14 | 22 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 抵抗 [Ω/km] | 20.8 | 14.7 | 5.2 | 3.33 | 2.31 | 1.3 | 0.824 |
大サイズ(38〜325 mm²)
| サイズ [mm²] | 38 | 60 | 100 | 150 | 200 | 250 | 325 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 抵抗 [Ω/km] | 0.487 | 0.303 | 0.183 | 0.118 | 0.0922 | 0.0722 | 0.0565 |
電圧降下の許容範囲(内線規程)
内線規程 3606-1 では、電線の長さと受電方式に応じて 電圧降下の許容範囲を定めています。入力された電圧と距離から、適用される基準を自動判定します。
低圧配線(AC 100V / 200V等)
| 電線の長さ | 低圧受電(一般) | 高圧受電(変圧器あり) |
|---|---|---|
| 60m 以下 | 2% 以下 | 3% 以下 |
| 60m超 120m以下 | 4% 以下 | 5% 以下 |
| 120m超 200m以下 | 5% 以下 | 6% 以下 |
| 200m 超 | 6% 以下 | 7% 以下 |
DC配線(低電圧)
| 電圧系統 | 準拠規格 | 最低動作電圧 |
|---|---|---|
| 12V系 | 一般慣例 | 9.0V |
| 24V系 | IEC 61131-2 | 20.4V |
| 48V系 | ETSI EN 300 132-2 | 40.5V |
関連する電気設備計算
電圧降下計算は単独では完結せず、以下の計算と組み合わせて総合的にケーブル選定を行います。
| 計算ツール | 電圧降下計算との関係 |
|---|---|
| 許容電流・ケーブル選定 | 電圧降下が OK でも許容電流を超えていればサイズアップが必要 |
| 電線管サイズ選定 | ケーブルサイズが確定した後、電線管の占積率を確認 |
| ケーブルラック占積率 | ラック布設の場合の占有率計算 |
計算上の注意事項
- 許容電流の確認: 本ツールでの判定が「OK」であっても、それは電圧降下の観点に限られます。 電線には流せる電流の限界(許容電流)があり、 周囲温度や布設方法によっても変化します。最終的な選定では必ず許容電流表も確認してください。
- 温度による抵抗変化: JIS抵抗値は20℃基準です。実際の導体温度が高い場合は抵抗が増加し、電圧降下も大きくなります。 高温環境での設計は余裕を持たせてください。
- 将来の負荷増設: 長距離の配線では、将来的な負荷増設も考慮して余裕を持たせたケーブル選定を行いましょう。
- 力率の影響: 本ツールの簡易計算では力率1(抵抗負荷)を前提としています。 誘導性負荷が多い場合はリアクタンス成分も含めた詳細検討が必要です。