EL-06電気設備

ブレーカー選定

次はこんな計算どうですか?

この計算と合わせて使われることが多いツールです

解説

ブレーカー選定は、 負荷電流や消費電力から適切な配線用遮断器(MCCB)の 定格電流(AT)とフレームサイズ(AF)を決定するための計算です。 過電流から電線や機器を保護し、安全な電気設備を構築するために不可欠です。

本ツールでできること

  • ブレーカー容量の自動計算 — 電流値または消費電力から最適なAT/AFを自動提案
  • 単相・動力(三相)・直流に対応 — 単相2線100V/単相2線200V/単相3線100/200V/三相3線200V/三相3線400V/三相4線230/400V/直流
  • 力率の考慮 — 力率入力で皮相電力ベースの正確なブレーカーサイズ選定
  • 内線規程準拠の安全率 — 1.0/1.25/1.5/2.0/2.5倍から選択(動力始動電流も考慮可能)

電力と電流の関係(力率)

交流回路で消費電力(W)から電流(A)を正確に計算するには「力率(Power Factor)」を考慮する必要があります。 力率が低いと同じワット数でもより多くの電流が流れるため、ブレーカーサイズ選定に直接影響します。

用語単位意味
有効電力W, kW実際に仕事をする電力。ヒーター等は力率100%に近い
皮相電力VA, kVA電圧 × 電流の見かけ上の電力。ブレーカーはこの値で選定
力率%, cosθ有効電力 ÷ 皮相電力。モーター負荷は約80%、インバーター機器は90%以上

※ 力率が低いと、同じワット数でもより多くの電流が流れるため、太い電線や大きなブレーカーが必要になります。

AT と AF とは(配線用遮断器の2つの定格)

AT(Ampere Trip / 定格電流)は過電流で遮断動作を開始する基準電流値、AF(Ampere Frame / フレームサイズ)は遮断器本体の筐体ランクです。 AT は実負荷電流から、AF は将来の負荷増設や遮断容量(kA)から決まります。

配線用遮断器(MCCB)の選定では、 AT と AF の両方を決める必要があります。

項目意味選定基準
AT(定格電流)過電流で遮断動作を開始する基準電流値設計電流 ≤ AT ≤ 電線の許容電流
AF(フレームサイズ)遮断器の筐体の大きさのランク設定可能な最大ATと遮断容量(kA)で決定

AF選定の実務ポイント(将来性)

計算上は「50AF / 20AT」で十分な場合でも、将来の負荷増設を見込んで あえて大きなAF(例: 100AF / 50AT)を選定するケースがあります。 ブレーカー本体の交換だけで最大100Aまで対応可能になります(電線の太さが対応していることが前提です)。

また、幹線の上流側では短絡電流が大きくなるため、 遮断容量(kA)を確保するためにATが小さくても大きなAFを選定することがあります。

ブレーカー AF・AT 一覧(早見表)

JIS規格に基づく一般的なブレーカーのフレームサイズ(AF)と定格電流(AT)のラインナップ早見表です。 計算せずにAF・AT の一覧だけを確認したい場合はこの表を参照してください。 AT を選ぶと、同じ行の AF が対応する筐体サイズになります。

AF一般的な AT ラインナップ [A]
303, 5, 10, 15, 20, 30
5010, 15, 20, 30, 40, 50
10050, 60, 75, 100
225125, 150, 175, 200, 225
400250, 300, 350, 400

※ 実際の製品ラインナップはメーカーにより異なります。60AF・125AFはメーカーによって50AF・100AFと統合される場合があります。

AT ごとに分岐回路の最小電線・コンセント定格・電圧別の連続負荷の上限まで含めて引きたい場合は ブレーカー選定早見表 をご利用ください。フレームでの絞り込み・並べ替え・CSV書き出しに対応しています。

動力(三相)ブレーカーの選定

三相モータや動力負荷に使う動力ブレーカーは、単相ブレーカーと違って 始動電流(突入電流)が定格の 5〜7 倍流れるため、安全率を大きく取って選定する必要があります。 本ツールは三相 3 線 200V / 三相 3 線 400V / 三相 4 線 230/400V のいずれにも対応しています。

電源方式用途例推奨安全率
三相3線 200V汎用モータ・コンプレッサ・ポンプ等1.5〜2.0倍
三相3線 400V中大型モータ・工場動力設備1.5〜2.0倍
三相4線 230/400V動力と照明を共用する設備1.5〜2.0倍

※ 大型モータ(22kW以上の直入始動)や頻繁始動の用途では 2.5 倍以上を推奨。 スターデルタ始動・インバータ始動なら 1.25〜1.5 倍まで下げられます。

使い方

上部の入力フォームで 「電源方式」 から 三相 3 線 200V / 400V などを選択し、モータの定格出力(kW)を入力するだけで動力ブレーカーの AT/AF が決まります。 力率は 0〜1(cosθ)で入力し、誘導モータなら 0.8、インバータ機器なら 0.9 を目安にしてください。

内線規程に基づくブレーカー選定の考え方

日本の電気工事では 内線規程(一般社団法人 日本電気協会)が事実上の業界標準ルールです。 ブレーカー選定でとくに重要なのは以下の 3 点です。

ポイント内容
許容電流との関係ブレーカー AT は接続する電線の許容電流以下でなければならない。 AT > 許容電流だと電線が過熱しても遮断されない危険な状態になります。
安全率 1.25 倍が基本一般負荷では設計電流の 1.25 倍を見込んで AT を決めるのが内線規程の標準。 本ツールのデフォルトもこの値(1.25 倍)になっています。
動力負荷の特例モータ等の動力負荷は始動電流を考慮して 1.5〜2.5 倍まで安全率を上げる。 一般電灯回路と動力回路を同じ感覚で選定しないこと。

※ 詳細条件・建物用途別の規定値は最新の内線規程本文を参照してください。 本ツールの計算結果は内線規程に準拠した一般的な目安です。

関連する電気設備計算

ブレーカー選定は単独では完結せず、以下の計算と組み合わせて総合的に電気設備を設計します。

計算ツールブレーカー選定との関係
許容電流・ケーブル選定ブレーカーAT ≤ 電線の許容電流であることの確認が必須
電圧降下計算長距離配線ではケーブルサイズアップが必要になり、ブレーカー選定にも影響
ヒューズ選定ブレーカーの代わりにヒューズで保護する場合の選定計算

計算上の注意事項

  • 許容電流との整合: ブレーカーのAT値は、接続する電線の許容電流以下 でなければなりません。AT > 許容電流となると、電線が過熱してもブレーカーが動作しない危険があります。
  • 動力負荷の始動電流: モーター等の動力負荷は始動時に定格電流の5〜7倍の突入電流が流れます。 頻繁にトリップする場合はAT値の見直しや始動方式の変更を検討してください。 三相電動機の出力別の規約電流と配線用遮断器(直入れ/スターデルタ)の選定例は 電動機 規約電流・分岐回路早見表 で確認できます。
  • 上位遮断器との協調: 分岐ブレーカーと主幹ブレーカーの間で適切な保護協調(選択遮断)が必要です。 事故時に分岐側だけが動作するよう、AT値とトリップ特性を調整してください。

よくある質問