ST-03構造・強度

梁のたわみ・応力計算(単純梁・片持ち梁・両端固定梁)

次はこんな計算どうですか?

この計算と合わせて使われることが多いツールです

解説

梁のたわみ・応力計算は、 荷重が作用する梁の最大たわみ・最大曲げモーメント・最大せん断力・最大曲げ応力を求め、 建築基準法のたわみ制限(L/250 等)と許容応力度を満たすかを確認するための基本計算です。 本ツールは、単純梁・片持ち梁・両端固定梁の3支持条件に集中荷重・等分布荷重を組み合わせた計6パターンの公式に対応し、 H形鋼・I形鋼・溝形鋼・軽溝形鋼(リップ溝形鋼)・等辺山形鋼・角形鋼管・鋼管の JIS 規格代表サイズを選ぶだけで断面性能(強軸 I、Z、A)を即時参照できます。 木材(製材・集成材)や平鋼などの矩形断面は、幅 b・せい h を入力すると I・Z・A を自動算出します。 規格表にないサイズも、種別で「直接入力(任意の I, Z)」を選べば任意の断面性能をそのまま入力して計算できます。 断面性能を種別横断で一覧・並べ替えて選びたいときは 鋼材規格表、長さ・本数からの総重量は 鋼材重量計算ツール を併せてご利用ください。

計算式と記号

梁のたわみ δ_max は荷重・スパンの累乗・曲げ剛性 EI で決まり、 曲げ応力 σ_max は最大曲げモーメント M_max を断面係数 Z で割って求めます。

δ_max = c_d × W × Lp / (E × I)
M_max = c_m × W × Lq
σ_max = M_max / Z

係数 c_d、c_m、c_q とべき乗 p、q、r は支持条件と荷重条件で決まります(次表)。 集中荷重では W は荷重 P [N]、等分布荷重では単位長さあたり荷重 w [N/mm] として扱います。

記号説明
L (mm)スパン(支点間距離、片持ち梁では固定端〜先端の長さ)
P (kN)集中荷重
w (kN/m)等分布荷重
E (N/mm²)材料のヤング係数(縦弾性係数)
I (cm⁴)強軸まわりの断面二次モーメント
Z (cm³)強軸まわりの断面係数
A (cm²)断面積(せん断応力 τ = Q/A に使用)
δ_max (mm)最大たわみ量
M_max (kN·m)最大曲げモーメント
σ_max (N/mm²)最大曲げ応力(M_max / Z)
τ (N/mm²)せん断応力(Q_max / A)

6パターンの公式一覧

支持・荷重δ_maxM_maxQ_max
単純梁・中央集中PL³/(48EI)PL/4P/2
単純梁・等分布5wL⁴/(384EI)wL²/8wL/2
片持ち梁・先端集中PL³/(3EI)PLP
片持ち梁・等分布wL⁴/(8EI)wL²/2wL
両端固定・中央集中PL³/(192EI)PL/8P/2
両端固定・等分布wL⁴/(384EI)wL²/12wL/2

矩形断面(木材・平鋼)の断面性能

木材(製材・集成材)や平鋼などの矩形断面は、幅 b・せい h から断面性能を計算できます。 本ツールで種別「矩形断面(木材・平鋼)」を選び、b・h を入力すると I・Z・A を自動算出します。 荷重方向が h(せい)になるよう向きに注意してください。

I = b × h³ / 12Z = b × h² / 6A = b × h

たわみ・応力は同じ断面積でも、せい h が大きいほど I(h の3乗)・Z(h の2乗)が急増して有利になります。 木材は樹種・等級でヤング係数 E が大きく異なるため、下表の代表値を目安に、 設計では JAS 等級区分に対応する基準値を用いてください。

せん断応力 τ の確認

せん断応力 τ は最大せん断力 Q_max を断面積 A で割って求めます。 断面積 A を入力すると、平均せん断応力 τ_avg を算出します。 せん断応力は断面内で一様ではなく、中立軸付近で最大になるため、 断面形状に応じた係数 k を掛けた最大せん断応力 τ_max で照査します。

τ_avg = Q_max / Aτ_max = k × Q_max / A
断面形状係数 k(τ_max / τ_avg)
矩形(木材・平鋼)1.5
円形(鋼管・丸鋼)4/3 ≒ 1.33
H形鋼・溝形鋼などウェブ断面積 A_w で τ = Q/A_w を別途確認
木材はせん断が効きやすい

木材は繊維方向のせん断強度が低く、短スパン・大荷重では曲げよりせん断で決まることがあります。 矩形断面では中立軸のせん断応力が平均の1.5倍になるため、τ_max = 1.5 × Q/A で許容せん断応力度と照合してください。

代表的なヤング係数 E

ヤング係数 E は同じ材料種別でも規格・含水率・温度などで変動します。 厳密な設計には JIS や鋼構造設計規準・木質構造設計規準の規定値を使用してください。 構造体への外力検討は 風圧荷重計算 で算出した分布荷重を本ツールに入力する流れが一般的です。

材料E (N/mm²)
構造用鋼(SS400 / SN490)205,000
ステンレス(SUS304)197,000
アルミ合金(A6063)70,000
構造用集成材(同一等級 E105 相当)10,500
製材(スギ E70)7,000
製材(ヒノキ E90)9,000
製材(ベイマツ E110)11,000

建築基準法のたわみ制限

建築基準法施行令 第82条 第四号では、固定荷重・積載荷重によって梁・床版に生じる最大たわみが クリープを考慮してスパンの 1/250 以下となることを要求しています。 住宅性能評価や、外装材を支える梁では美観・部材の損傷防止の観点からより厳しい制限値が設けられることがあります。

主なたわみ制限値の目安
  • 建築基準法 令第82条 第四号: δ ≦ L/250
  • 住宅性能評価(より厳しい運用例): δ ≦ L/200
  • 美観・天井下地など振動を抑えたい部位: δ ≦ L/300
  • クリープ考慮の変形増大係数: 木造 2.0 / RC造 8/3 程度(材料・条件で増減)

注意事項

  • 自重未含: 本ツールでは梁の自重を計算に含めていません。実設計では自重と外力を合算して入力するか、自重分を別途加算してください。
  • 弾性範囲のみ: 計算は線形弾性理論に基づきます。塑性変形・横座屈・ねじれは考慮されないため、長スパン梁・薄板梁では別途検討が必要です。
  • 単一スパン解析: 連続梁・複合荷重・支点沈下を考慮した解析には別途構造計算ソフトを使用してください。本ツールはあくまで概略検討用途です。
  • 許容応力度照査は別途: 算出された σ_max は鋼構造設計規準・木質構造設計規準の許容応力度と照合する必要があります。安全率を満たすかは別途確認してください。
  • RC梁: 鉄筋コンクリート梁は鉄筋とコンクリートの合算断面性能で評価する必要があります。鉄筋の必要量算出は 鉄筋数量計算 を併用してください。

よくある質問