ST-04構造・強度

部材の耐荷重・許容荷重計算(形鋼・スパンから逆算)

次はこんな計算どうですか?

この計算と合わせて使われることが多いツールです

解説

部材の耐荷重(許容荷重)計算は、 梁や桁として使う形鋼が「スパンいくつのとき、どれだけの荷重まで載せられるか」を逆算する検討です。 荷重を与えて応力・たわみを求める 梁のたわみ・応力計算 の逆方向にあたり、断面性能(断面二次モーメント I・断面係数 Z)とスパン・支持条件から、 許容曲げ応力度で決まる荷重とたわみ制限(L/250 等)で決まる荷重をそれぞれ求め、小さい方を採用許容荷重とします。 本ツールは H形鋼・I形鋼・溝形鋼・軽溝形鋼・等辺山形鋼・角形鋼管・鋼管の JIS 規格代表サイズを選ぶだけで、 強軸まわりの I・Z を自動参照して許容等分布荷重・許容集中荷重を算出します。

許容荷重の求め方(曲げとたわみの2条件)

梁が支えられる荷重は「応力(強さ)」と「たわみ(変形)」の2つの上限で決まります。 許容曲げモーメント M_allow = fb × Z を、支持・荷重条件ごとの最大曲げモーメント式で割り戻すと曲げ許容荷重が、 許容たわみ δ_allow = L/n を最大たわみ式で割り戻すとたわみ許容荷重が得られます。

曲げ: M_allow = fb × Z  →  W_bend = M_allow / (c_m × Lq)
たわみ: δ_allow = L / n  →  W_defl = δ_allow × E × I / (c_d × Lp)
採用許容荷重 = min(W_bend, W_defl)

係数 c_m・c_d とべき乗 p・q は支持条件と荷重条件で決まります(後述)。 集中荷重では W は荷重 P [kN]、等分布荷重では単位長さあたり荷重 w [kN/m] として扱い、 等分布のときはスパン全体の総荷重 W = w × L [kN] も併せて表示します。

記号説明
L (mm)スパン(支点間距離、片持ち梁では固定端〜先端の長さ)
fb (N/mm²)許容曲げ応力度(長期は基準強度 F の 1/1.5)
Z (cm³)強軸まわりの断面係数(曲げ許容荷重を決める)
I (cm⁴)強軸まわりの断面二次モーメント(たわみ許容荷重を決める)
E (N/mm²)材料のヤング係数(鋼 = 205,000)
n許容たわみ分母(δ ≦ L/n、標準は 250)
W_bend / W_defl曲げ/たわみで決まる許容荷重(採用値は両者の小さい方)

断面性能 I・Z の値そのものや、種別横断の一覧・並べ替えは 鋼材規格表、長さ・本数からの総重量は 鋼材重量計算ツール で確認できます。

材料の許容曲げ応力度 fb と基準強度 F

許容曲げ応力度 fb は、材料の基準強度 F(平成12年建設省告示第2464号)から求めます。 長期許容応力度は fb = F / 1.5、地震・風などの短期は fb = F です。 下表は板厚 t ≦ 40mm・横補剛が十分な場合の代表値で、本ツールのプリセットに対応します。 短期の検討をしたい場合は、fb の欄に基準強度 F(235・325 など)を直接入力してください。

鋼材(代表)F (N/mm²)長期 fb = F/1.5
SS400 / SN400 / STK400235156.7
SM490 / SN490 / STKR490325216.7
SS400(40 < t ≦ 100mm)215143.3
荷重を kgf・tf で扱いたいとき

本ツールの許容荷重は kN・kN/m で表示します。現場でなじみのある kgf・tf に換算するには kg・ニュートン換算ツール を併用してください(1 kN ≒ 102 kgf)。

支持条件・荷重条件と係数

逆算に使う最大曲げモーメント式・最大たわみ式は、支持条件(単純梁・片持ち梁・両端固定梁)と 荷重条件(集中・等分布)の組み合わせで決まります。 同じ断面・スパンでも、片持ち梁は単純梁よりはるかに小さい荷重しか支えられません。

支持・荷重M_maxδ_max
単純梁・中央集中PL/4PL³/(48EI)
単純梁・等分布wL²/85wL⁴/(384EI)
片持ち梁・先端集中PLPL³/(3EI)
片持ち梁・等分布wL²/2wL⁴/(8EI)
両端固定・中央集中PL/8PL³/(192EI)
両端固定・等分布wL²/12wL⁴/(384EI)

両端固定梁の最大曲げモーメントは端部(固定端)に生じる値で、逆算にはこの端部モーメントを用いています。

集中荷重と等分布荷重の使い分け

集中荷重・等分布荷重のどちらで計算するかは、荷重物の「個数」ではなく、梁の長さに対して荷重が載る範囲が狭いか広いかで決まります。 狭い一点に集約されるなら集中荷重、梁全体に散らばって載るなら等分布荷重です。

  • 集中荷重の例: 機器・タンクの脚(アンカー)で受ける、大梁に小梁が載る(反力が一点に集中)、チェーンブロック・ホイストの吊り点、台車のキャスター・車輪、片持ち材の先端に載る荷重。
  • 等分布荷重の例: 床・グレーチング・デッキ材からの荷重、積雪・自重、長手方向に敷き並べた資材・多数の配管支持。
迷ったら集中荷重で見れば安全側

総荷重が同じなら、集中荷重の方が梁に厳しく効きます。単純梁の中央で比べると、 集中は M = PL/4、等分布(総荷重 W = wL)は M = wL²/8 = WL/8 となり、集中は等分布のちょうど2倍のモーメントが生じます。 載り方がはっきりしないときは、集中荷重として梁中央に置いて計算すれば保守的(安全側)に見積もれます。 逆に、大きなベースプレートや振り分け梁で確実に面的に散らせる場合は等分布として扱えます。

使用上の注意

  • 横座屈は未考慮: fb = F/1.5 は横補剛が十分な場合の値です。圧縮フランジの横補剛が不足する長スパン梁では許容曲げ応力度が低下するため、別途 fb を低減してください。
  • 自重を含めて照査: 算出される許容荷重は梁の自重を含みません。実際に載せられる外部荷重は、自重分を差し引いて評価してください。
  • 弾性範囲・単一スパン: 線形弾性理論に基づく単一スパンの概略検討です。連続梁・複合荷重・塑性域は対象外で、正式な構造計算の代替にはなりません。
  • せん断・支圧は別途: 短スパンで荷重が大きい場合はせん断・ウェブの局部座屈が支配することがあります。曲げとたわみ以外の検討も必要です。
  • 荷重からの検算: 求めた許容荷重を実際に載せたときの応力・たわみは 梁のたわみ・応力計算 で検算できます。

よくある質問