ST-07構造・強度

断面性能計算(断面二次モーメント・断面係数・断面二次半径)

次はこんな計算どうですか?

この計算と合わせて使われることが多いツールです

解説

断面性能計算は、部材の断面形状と寸法から断面二次モーメント I断面係数 Z断面二次半径 i・断面積 A・図心を求める計算です。 I は曲げに対する変形しにくさ(たわみ)、Z は曲げ強さ、i は座屈のしやすさを表す基本量で、 梁・柱の設計に欠かせません。本ツールは寸法を入力するだけで、H形鋼・角形鋼管・鋼管・矩形・丸に加え、 図心が偏る溝形鋼・T形鋼・山形鋼まで、材料力学の定義式で断面性能を算出します。

JIS 規格品の登録済み断面性能や重量は 鋼材重量計算ツール、種別横断の一覧・並べ替えは 鋼材規格表 で確認できます。本ツールはそれらの表に載っていない規格外のビルドH・溶接組立材・任意寸法の中空断面の断面性能を、寸法から直接計算したいときに使います。

断面性能の定義式

断面二次モーメント I は図心を通る軸まわりに I = ∫ y² dA で定義され、 断面係数 Z は I を図心から縁までの距離 e で割った値、断面二次半径 i は I を断面積 A で割って平方根をとった値です。 図心(中立軸の位置)は Σ(A·y) / ΣA で求めます。

I = ∫ y² dA  (断面二次モーメント)
Z = I / e  (断面係数、e = 図心〜縁の距離)
i = √(I / A)  (断面二次半径)

複数の矩形からなる断面は、各矩形の断面二次モーメントを平行軸の定理(I = I₀ + A·d²)で図心軸まわりに移して合計します。 中空断面は「外形の矩形」から「内側の穴の矩形」を差し引いて計算します。 ここで求めた I・Z は、梁のたわみ・応力を出す 梁のたわみ・応力計算や、載せられる荷重の上限を逆算する 部材の耐荷重計算 にそのまま入力できます。

記号説明
A (cm²)断面積
I (cm⁴)断面二次モーメント(強軸 Ix・弱軸 Iy)
Z (cm³)断面係数(= I / e、曲げ応力 σ = M / Z の分母)
i (cm)断面二次半径(= √(I/A)、細長比 λ = ℓk / i に使う)
e (cm)図心から断面の縁までの距離
図心断面の重心(曲げの中立軸が通る点)

形状別の断面性能式(x軸まわり)

代表的な断面の断面積 A と、x軸(水平・図心)まわりの断面二次モーメント Ix の式を示します。 弱軸 Iy も同じ形式で幅と高さを入れ替えて計算します。溝形鋼・T形鋼・山形鋼は図心が偏るため、 矩形に分解して平行軸の定理で合成します。

形状断面積 AIx
矩形B·HB·H³/12
πD²/4πD⁴/64
角形鋼管B·H − b·h(B·H³ − b·h³)/12
鋼管π(D²−d²)/4π(D⁴−d⁴)/64
H・I形鋼B·H − (B−tw)·hw[B·H³ − (B−tw)·hw³]/12
溝形・T形・山形矩形分解 + 平行軸の定理 Σ(I₀ + A·d²)

b = B − 2t、h = H − 2t(中空の内寸)、hw = H − 2tf(H・I形鋼のウェブ高さ)。

山形鋼は主軸が傾く

山形鋼(アングル)は上下左右どちらにも対称でないため、断面相乗モーメント Ixy がゼロになりません。 このとき最も曲がりやすい向き(主軸)は水平・鉛直から傾きます。本ツールは主断面二次モーメント Iu・Iv と、 座屈で効く最小断面二次半径 i_min・主軸角まで算出します。 等辺山形鋼では主軸はちょうど 45° に傾きます。

使用上の注意

  • フィレット・テーパーは無視: 隅肉(フィレット)・角の丸み・圧延形鋼のフランジ勾配(テーパー)を無視した理想化断面で計算します。 プレートを溶接した組立材では厳密ですが、圧延規格材では JIS 実断面と差が出ます。H形鋼・角形鋼管は数%程度、 フランジが勾配する溝形鋼・I形鋼は特に弱軸 Iy・Zy が大きめに出るため、これらは規格表の登録値を優先してください。
  • 強軸・弱軸の向き: x軸は水平軸で、縦長の形鋼では強軸(Ix > Iy)にあたります。曲げを受ける向きにせい(高さ)が来るよう H・D を入力してください。
  • 座屈検討には i_min: 柱の座屈は最も細い向きで起こるため、細長比には最小の断面二次半径を使います。山形鋼など非対称断面では i_min を確認してください。
  • 規格品は登録値を優先: JIS 規格品はメーカーカタログ・ 鋼材重量計算ツール の登録値(フィレット込み)の方が正確です。本ツールは任意寸法・規格外断面の概算に使ってください。

よくある質問