HV-04空調・配管

ダクトサイズ計算(風量から角・丸ダクトの寸法選定)

次はこんな計算どうですか?

この計算と合わせて使われることが多いツールです

解説

ダクトサイズ計算は、 空調機や換気扇から供給する風量と、用途に応じた許容風速から、 必要な丸ダクト径・矩形ダクト寸法を選定する設計計算です。 本ツールは SHASE-S 010「空気調和・衛生設備技術基準」とJIS A 4009「空気調和及び換気設備用ダクト」の標準寸法に基づき、 風速 10 m/s 以下・単位圧力損失 1.0 Pa/m 以下・アスペクト比 1:4 以下の3条件を満たす 最小サイズを丸/矩形の両形状で同時に算出します。 前段で居室の必要換気量を求める場合は 必要換気量計算 を併用してください。丸・矩形ダクトの相当径や各風速の風量を寸法ごとに一覧で引くなら ダクトサイズ早見表 が便利です。

等摩擦法と設計の3条件

空調ダクトのサイズ決定では 等摩擦法(Equal Friction Method)が 最も広く使われます。これはダクト全長にわたって単位長さあたりの摩擦損失(圧損)を一定値以下に保つ設計手法で、 系統全体の圧力バランスが取りやすく、変更や増設にも対応しやすいのが特徴です。

実用設計では次の3条件を同時に満たすサイズを選定します。

設計条件基準値理由
風速≤ 10 m/s超過すると気流騒音・振動・摩耗が増加
単位圧力損失≤ 1.0 Pa/m送風機動力・年間電力量に直結
アスペクト比≤ 1:4扁平化で表面積増→圧損増・板厚不足

※ 電気配線用の金属ダクト・ケーブルラックは別規程(内線規程 3102-6)で占積率が定められており、 本ツールの空調ダクトとは設計条件が異なります。電気用途は ケーブルラック・ダクト占積率計算 を使用してください。

風量から断面積・ダクト径を求める計算式

必要断面積は風量と許容風速から直接算出され、丸ダクト径はそこから幾何的に決まります。 単位圧力損失はダルシー摩擦損失式に亜鉛メッキ鋼板鈍管の代表値(摩擦係数 f ≒ 0.018、空気密度 ρ = 1.20 kg/m³)を 当てた近似式を本ツールで採用しています。

A = Q / (3600 × v) [m²]
d = √(4A / π) × 1000 [mm]
R = f × ρ × v² / (2D) ≒ 0.0108 × v² / D[m] [Pa/m]
記号説明
Q (m³/h)風量(CMH)
v (m/s)許容風速(用途別の標準値)
A (m²)必要断面積
d, D (mm / m)丸ダクト直径(D は m 換算)
R (Pa/m)単位圧力損失(摩擦損失)
f摩擦係数(亜鉛メッキ鋼板鈍管 ≒ 0.018)
ρ (kg/m³)空気密度(常温常圧 ≒ 1.20)

計算で得た理論径は JIS A 4009 のスパイラルダクト標準系列の最小一致値へ自動スナップします。 実際に流通しているサイズは下表の通りで、本ツールはこの全 28 寸法をスナップ対象として保持しています。

JIS A 4009 丸ダクト標準寸法

矩形ダクトと等価直径(相当直径)

天井懐や PS の制約で丸ダクトが収まらない場合は、同じ風量を流せる矩形ダクトに置き換えます。 矩形ダクトの摩擦損失を丸ダクトと同等に評価する指標が 等価直径(相当直径)De で、 次の式で求めます。

De = 1.3 × ((a · b)5 / (a + b)2)1/8 [mm]

ここで a は長辺、b は短辺。同じ風量・風速条件で De が丸ダクト径に近いほど摩擦損失も近くなります。 本ツールはアスペクト比 1:1, 1:1.5, 1:2, 1:3, 1:4 の5パターンを 50 mm 刻みで同時に提示し、 天井懐・PS の制約に合うパターンを選びやすくしています。

用途別の標準的な許容風速は次の通りです。室内の温湿度条件に応じてダクトの保温・結露検討も必要で、 露点温度の確認には 湿り空気・露点温度計算 を併用してください。

用途・部位推奨風速備考
事務所・主ダクト8 m/s事務所ビルの標準値(省エネ設計)
事務所・分岐ダクト5 m/s居室分岐部、低騒音化を考慮
住宅・主ダクト5 m/s集合住宅・戸建、生活騒音を考慮
住宅・分岐ダクト3 m/s寝室を含む静音設計
工場・主ダクト10 m/sSHASE 上限値、騒音許容範囲広め
病院・録音室3 m/s低騒音要求の高い空間
制気口(吹出口部)2 m/s居住域での吹出風速基準

矩形ダクト 代表寸法と等価直径

矩形ダクトは長辺・短辺ともに 50 mm 刻み(100〜2000 mm)で組み合わせるのが慣行です。 実務でよく使われる代表的な組み合わせとその等価直径 De は次の通り。 天井懐や PS の制約に合わせて選定し、本ツールの「矩形ダクト候補」テーブルでアスペクト比別の判定を確認してください。

注意事項

本ツールは設計初期検討用の簡易版です
  • 摩擦係数は亜鉛メッキ鋼板鈍管 f ≒ 0.018 で固定。グラスウール内貼り・フレキシブルダクトは別途補正
  • 局部抵抗(曲がり・分岐・ダンパ)は本計算に含まれない。系統全圧損は別途加算が必要
  • 排煙ダクト・厨房排気ダクトは温度補正・空気密度補正が別途必要(高温で密度低下)
  • 正確な圧力損失は摩擦抵抗線図・メーカー機器表で再確認すること
  • アスペクト比は 1:2 以下が望ましい: 1:4 まで許容ですが、表面積増による圧損増・板厚不足・施工性低下があるため、 実設計では 1:2 以下に収めるのが推奨です。
  • 騒音規制を超える可能性がある場合: 敷地境界での到達騒音が問題になりそうな機械室・室外機室では 騒音レベル計算(距離減衰) で受音点騒音を別途評価してください。
  • 居室到達風速: 主ダクトを高速化するほどダクト径は縮小しますが、吹出口直前で 2〜4 m/s まで減速させる必要があります。 居住域到達風速はドラフト感(不快感)を避けるため 0.25 m/s 以下が一般的な目標。
  • 送風機静圧との整合: 本ツールは単位長さの圧損のみ算出します。系統全圧損は「直管圧損 + 局部抵抗 + 制気口圧損」の合計で、 送風機静圧(FCU・AHU・送風機の能力)に対して余裕を持って収まることを最終確認してください。
  • 公共工事・設計協議: 建築設備設計基準(国土交通省)や発注者仕様書で別途規定がある場合はそちらを優先してください。 本ツールは民間工事の設計初期検討・現場確認用の概略計算です。

よくある質問