現場・施工管理
騒音レベル計算(距離減衰)
音源の騒音レベルと距離から到達点の騒音レベルを算出。複数音源のデシベル合成にも対応。
次はこんな計算どうですか?
この計算と合わせて使われることが多いツールです
解説
騒音レベル計算は、建設現場の重機や設備が発生する騒音が、 敷地境界や近隣住宅にどの程度到達するかを予測するための計算です。騒音規制法や自治体条例で定められた基準値を満たすかを事前に確認し、 必要な対策(遮音壁の設置、低騒音型建機の採用など)を検討するために使います。
本ツールでできること
- 距離減衰計算 — 音源から任意の距離での騒音レベルを算出
- 複数音源の合成 — 複数台の建機が同時稼働する場合の合成騒音レベルを算出
- 遮音壁の効果予測 — 防音壁設置時の回折減衰をMaekawa式で計算
- 規制基準との比較 — 区域・時間帯を選択して基準値との適合判定
- 建機データベース — 33種の建設機械の騒音レベルを自動入力
距離減衰の計算式(逆二乗の法則)
点音源(建設機械など)からの騒音は、距離の二乗に反比例してエネルギーが減衰します。 これを逆二乗の法則といいます。
L₂ = L₁ − 20 × log₁₀(r₂ / r₁)
| 記号 | 意味 | 単位 |
|---|---|---|
| L₁ | 基準距離 r₁ における騒音レベル | dB |
| L₂ | 到達点距離 r₂ における騒音レベル | dB |
| r₁ | 基準距離(カタログ値の測定距離。通常 7m) | m |
| r₂ | 到達点までの距離(敷地境界等) | m |
距離と減衰量の関係
| 距離倍率 | 減衰量 | 例(7M基準) |
|---|---|---|
| 2倍 | -6 dB | 7m → 14m |
| 5倍 | -14 dB | 7m → 35m |
| 10倍 | -20 dB | 7m → 70m |
| 100倍 | -40 dB | 7m → 700m |
デシベル合成(複数音源の計算)
デシベル(dB)は対数スケールのため、 複数の音源が同時に発生する場合は単純な足し算ではなく、以下の式で合成します。
L_total = 10 × log₁₀(Σ 10^(Li / 10))
合成の具体例
| 条件 | 合成値 | 増加量 |
|---|---|---|
| 同レベル 2台(80dB + 80dB) | 83 dB | +3 dB |
| 同レベル 3台(80dB × 3) | 85 dB | +5 dB |
| 同レベル 10台(80dB × 10) | 90 dB | +10 dB |
| 10dB差がある場合(90dB + 80dB) | 90.4 dB | +0.4 dB |
※ 10dB以上の差がある場合、小さい方の音源はほぼ影響しません。
遮音壁の回折減衰(Maekawa の近似式)
遮音壁(防音壁)を設置した場合の減衰効果は、Maekawa(前川)の近似式で推定できます。 音は壁の上端を回り込んで伝わるため、壁が高いほど・周波数が高いほど減衰が大きくなります。
ΔL = 10 × log₁₀(3 + 20N)
| 記号 | 意味 |
|---|---|
| N | フレネル数 = 2δ / λ |
| δ | 経路差 = a + b − d(壁を回り込む経路と直線経路の差)[m] |
| λ | 波長 = 音速 / 周波数 [m] |
| a | 音源から壁上端までの距離 [m] |
| b | 壁上端から受音点までの距離 [m] |
| d | 音源から受音点までの直線距離 [m] |
実務上の注意
- 実用的な上限は約 24dB(単一壁の場合)
- 壁の隙間や側面からの回り込みがある場合は効果が低下
- 500Hz を代表周波数とするのが A 特性評価の一般的な慣行
建設機械の騒音レベル
本ツールには国土交通省「建設工事に伴う騒音振動対策ハンドブック」等に基づく 代表的な建設機械33種の騒音データを収録しています。 値は基準距離 7m での A 特性騒音レベル(LA)です。
| カテゴリ | 代表的な機械 | 騒音レベル |
|---|---|---|
| 掘削・整地 | バックホウ(0.1〜0.8m³) | 80〜88 dB |
| 基礎工事 | 油圧パイルハンマ / アースオーガ | 82〜90 dB |
| 解体 | 大型ブレーカー / ハンドブレーカー | 95〜98 dB |
| 締固め | 振動ローラ / タンパ | 84〜90 dB |
| コンクリート | ポンプ車 / カッター | 83〜92 dB |
| 発電・圧縮 | 発動発電機 / コンプレッサー | 78〜88 dB |
※ 低騒音型建設機械は上記より 6dB 以上低い値(国交省指定基準)。 実測値はメーカーカタログや低騒音型建設機械指定データベースで確認してください。
騒音規制法の基準値
騒音規制法では、地域を4つの区域に分類し、 時間帯ごとに騒音の基準値を定めています。
| 区域の区分 | 昼間 | 朝・夕 | 夜間 |
|---|---|---|---|
| 第1種区域(住居専用地域) | 55 dB | 45 dB | 40 dB |
| 第2種区域(住居地域) | 60 dB | 50 dB | 45 dB |
| 第3種区域(商工業地域) | 65 dB | 60 dB | 50 dB |
| 第4種区域(工業地域) | 70 dB | 65 dB | 60 dB |
特定建設作業の規制
- 敷地境界で 85dB 以下が特定建設作業の騒音規制基準
- 対象: くい打機、びょう打機、さく岩機、空気圧縮機、コンクリートプラント、ブレーカーなど
- 作業時間帯の制限: 第1・2種区域は 19:00〜7:00 の作業禁止
- 自治体の条例により、上記より厳しい基準が適用される場合があります
計算上の注意事項
- 自由空間の理論値: 本計算は障害物なし・反射なしの自由空間を仮定した理論値です。 実際の現場では地面反射(+3dB 程度)、建物反射、風向き等の影響を受けます。
- 点音源の仮定: 建設機械を点音源として扱っています。 線音源(道路交通騒音等)は距離2倍で約 3dB の減衰となり、本ツールの対象外です。
- 騒音データの代表値: 収録している建機の騒音レベルは環境影響評価等で使用される代表値です。 同じ機種でもメーカー・年式・稼働状態により値は変動します。
- 遮音壁の限界: Maekawa 式は壁の上端を回り込む回折波のみを考慮しています。 壁の隙間、側面回り込み、透過音は含まれません。