EL-17電気設備

電動機分岐回路・始動電流計算(規約電流・始動方式別・サーマル整定)

次はこんな計算どうですか?

この計算と合わせて使われることが多いツールです

解説

電動機の分岐回路は、電動機1台ごとに過電流遮断器(配線用遮断器)・電線・サーマルリレー(過負荷保護)を組み合わせて構成します。 設計の起点になるのが規約電流(全負荷電流)で、内線規程の 「資料3-7-3 電動機の規約電流値」に出力・電圧ごとの標準値が定められています。 本ツールは定格出力と受電電圧・始動方式を選ぶだけで、規約電流・始動電流・分岐回路の過電流遮断器・最小電線太さ・ サーマルリレー整定値をまとめて算出します。

規約電流の値を出力別に一覧で見たいときは 電動機規約電流・分岐回路 早見表 が便利です。本ツールは1台を深掘りし、始動方式ごとの始動電流の違いまで比較できる点が異なります。

始動方式と始動電流

三相かご形誘導電動機は始動の瞬間に規約電流の数倍の始動電流(突入電流)が流れます。 直入れ(全電圧)始動では規約電流の 5〜7 倍(代表 6.5 倍)に達するため、 電源容量が小さい場合や中〜大容量の電動機では、電圧を下げて始動電流を抑える方式を選びます。

始動電流 Is = 規約電流 In × 始動方式倍率

始動方式ごとの代表倍率(電源側から見た始動時の線電流)と適用出力の目安は下表のとおりです。 スターデルタは始動電流が直入れの 1/3 になりますが、始動トルクも 1/3 に下がるため、 負荷特性に合わせて選定します。

始動方式倍率適用出力の目安
直入れ(全電圧)約 6.53.7kW 以下が目安
スターデルタ Y-Δ約 2.25.5〜37kW が一般的
リアクトル(65%)約 4.2中〜大容量。タップで可変
コンドルファ(65%)約 2.7大容量。電源側電流を抑制
ソフトスタータ約 3.0汎用。設定で可変
インバータ(VVVF)1.5 以下可変速用途。最小

始動電流が大きいと、電源インピーダンスにより始動の瞬間に電圧が低下します。始動時の電圧ドロップが心配な場合は 電圧降下計算 で始動電流を入れて確認してください。

過電流遮断器・電線の選定(内線規程3705)

電動機分岐回路の過電流遮断器は「始動電流では動作せず、過負荷・短絡では確実に遮断する」ことが求められます。 内線規程 3705 節では、配線用遮断器の定格を規約電流の 3 倍以下(規約電流が 50A を超える場合は 2.75 倍以下)としつつ、 始動電流で動作しない値を選定します。電線は規約電流を安全に流せる太さとし、遮断器との保護協調をとります。

過電流遮断器 定格 ≤ 規約電流 × 3(50A 超は × 2.75)
電線 許容電流 ≥ 規約電流 × 1.25(50A 超は × 1.1)

本ツールの直入れ遮断器定格は富士電機「電動機分岐回路の選定(直入始動・始動時間6秒)」の値(回路の短絡保護用。過負荷は電磁開閉器+サーマルが担う)、スターデルタ列は内線規程 表3705-1「始動器を使用する場合」に基づきます。 最小電線太さは正本の許容電流表から、同一管内3本布設(電流減少係数 0.7・30℃基準)で「規約電流×1.25(50A超は×1.1)」を満たす最小の IV サイズを導出しています。 主幹や他負荷を含めた遮断器の詰めは ブレーカー選定、布設条件を反映した電線サイズの確認は 許容電流・ケーブル選定 を使ってください。参考に、三相200Vの代表値は下表のとおりです。

出力規約電流 A遮断器〔直入れ〕A遮断器〔Y-Δ〕A
2.2kW11.130
3.7kW17.440
5.5kW266040
11kW4810075
22kW93125125

サーマルリレー整定値と使用上の注意

サーマルリレー(過負荷継電器)は電動機の焼損を防ぐ過負荷保護で、整定値は全負荷電流(規約電流)を基準に合わせます。 実務では電動機銘板の定格電流の 100〜115% の範囲で調整します。短絡保護は過電流遮断器やヒューズが受け持ち、過負荷保護はサーマルが受け持つ、という役割分担が基本です。

本ツールの数値は設計初期の目安です
  • 規約電流は内線規程 資料3-7-3、直入れ遮断器は富士電機6秒選定(短絡保護用)、スターデルタ列は表3705-1「始動器使用」。三相400V の遮断器は表3705-2 依存のため未表示です。
  • 始動電流は始動方式の代表倍率による概算です。実機の始動電流・始動時間は試験成績表・負荷特性で確認してください。
  • インバータ始動では、分岐の過電流遮断器はインバータ入力側に施設し、定格はインバータの仕様に従います。
  • 最小電線は布設本数・周囲温度・ケーブル種別で補正が必要です。確定は最新規程とメーカー仕様で行ってください。

よくある質問