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電気設備

許容電流・ケーブル選定

条件(布設方法、周囲温度、本数)から許容電流を計算し、最適なケーブルサイズを選定します。

次はこんな計算どうですか?

この計算と合わせて使われることが多いツールです

解説

許容電流とは、電線やケーブルに安全に流せる電流の上限値です。 内線規程(JEAC8001)や JIS C 3605 で定められた基準に基づき、 導体サイズ・絶縁体の耐熱温度・布設条件から決まります。 この値を超えて電流を流し続けると絶縁体が劣化し、最悪の場合は火災の原因となります。

電線のケーブル選定では 「負荷電流 ≦ 許容電流」となるサイズを選びますが、 実際には電圧降下も考慮する必要があるため、 許容電流と電圧降下の両方を満たす電線サイズを選定することが大切です。

本ツールでは、温度補正係数・電流減少係数を自動計算し、 布設条件に応じた許容電流を即座に算出できます。 IV・HIV・CV・CVT など主要な電線種を網羅しています。

許容電流の計算式

許容電流の計算式は、 基準許容電流に温度補正係数と電流減少係数を掛けるシンプルな構造です。

I = I₀ × k₁ × k₂
記号意味単位
I許容電流(計算結果)A
I₀基準許容電流(30℃、1条布設時の値)A
k₁温度補正係数(周囲温度による補正)
k₂電流減少係数(同一管内の電線数による補正)

温度補正係数 k₁

周囲温度が基準の 30℃と異なる場合に適用する係数です。 電線の絶縁体には「最高許容温度」が定められており、 周囲温度が高いほど温度上昇の余裕が小さくなるため、許容電流も低下します。

k₁ = √((Tmax − Ta) / (Tmax − 30))
記号意味
Tmax絶縁体の最高許容温度(IV: 60℃、HIV: 75℃、CV: 90℃)
Ta周囲温度 [℃]

計算例:IV線 8sq、周囲温度 40℃

k₁ = √((60 − 40) / (60 − 30)) = √(20/30) = √0.667 ≒ 0.82

基準許容電流 I₀ = 61A(8sq IV線)のとき、温度補正後の許容電流は 61A × 0.82 = 約 50A となります。

周囲温度の設定目安

許容電流計算における「周囲温度」は、電線が布設される場所の最も暑い時期の温度です。 安全側(高めの温度)を採用することが推奨されます。

設定温度想定される設置場所・環境
30℃空調のある事務所・店舗・住宅居室、空調電気室
40℃空調なしの倉庫・廊下・階段室、通気性のある天井裏、日陰の屋外
50℃金属屋根直下の天井裏、直射日光下の屋外、キュービクル内、厨房上部
60℃〜ボイラー室、焼却炉周辺(IV線は使用不可、HIV・CV系を選定)

※ 周囲温度が絶縁体の最高許容温度に近づくと、許容電流は著しく低下します。

電流減少係数 k₂

同一の電線管やダクト内に複数の電線を収容すると、 相互の発熱により放熱が悪化します。 電線本数に応じて許容電流を低減する必要があり、この係数を電流減少係数と呼びます。

電線本数電流減少係数 k₂
1〜3本0.7
4本0.63
5〜6本0.56
7〜15本0.49
16〜40本0.43
41本以上0.39

出典:内線規程 1340-5表

ケーブルラック上で電線同士を直径以上離隔して配置する場合は、 相互の熱影響がないとみなし k₂ = 1.0(低減なし)とできます。 本ツールでは「配線方法」で「ラック・碍子(離隔)」を選択すると電流減少係数が無視されます。

布設条件による許容電流の違い

CV ケーブルなどの架橋ポリエチレン絶縁ケーブルは、布設条件によって許容電流が大きく異なります。 本ツールでは「管路布設」と「気中布設」の 2 条件から選択できます。

管路布設

  • 電線管内への収容、ダクト内への収容、束ね配線(ケーブルを結束)
  • 放熱条件が悪いため、許容電流は低めになる

気中布設

  • ケーブルラック(離隔配置)、がいし引き配線、暗渠・ピット内の自由配置
  • 放熱条件が良いため、許容電流は高めになる

「気中布設」を選択しても、ケーブルを束ねて配線する場合は電流減少係数の適用が必要です。 本ツールでは「布設条件」と「配線方法」を分けて設定できます。

ケーブル種類と選び方

電線・ケーブルは絶縁体の最高許容温度で 3 グループに分類されます。 温度定格が高いほど同じ導体サイズで大きな許容電流が得られるため、 高温環境や大電流が必要な幹線には CV 系を選定するのが一般的です。

60℃系(ビニル絶縁電線・ケーブル)

種類正式名称用途・特徴
IV600V ビニル絶縁電線屋内配線の基本。電線管に収容して使用
VVFビニルシースケーブル平形住宅配線の定番。ステップル留め・隠蔽配線
KIV電気機器用ビニル絶縁電線制御盤内配線。柔軟で取り回しやすい

75℃系(二種ビニル・エコ電線)

種類正式名称用途・特徴
HIV二種ビニル絶縁電線IV より耐熱性が高く、約 1.2 倍の許容電流
EM-IE耐燃性ポリエチレン絶縁電線エコ電線。難燃性・ノンハロゲン。IV の代替
HKIV二種電気機器用ビニル絶縁電線KIV の耐熱版。高温になりやすい盤内向け

天井裏やキュービクル内など周囲温度が高い場所では、 60℃系より 75℃系の電線を選ぶと許容電流に余裕が出ます。

90℃系(架橋ポリエチレン絶縁ケーブル / CV 系)

高い耐熱性と許容電流を持つ電力ケーブルで、幹線や電動機への給電に使用されます。

種類構造用途・特徴
CV-2C/3C/4C共通シース複数心を 1 つのシースで被覆。一般的な電力ケーブル
CVD2 心より単相回路向け。2 本の単心 CV をより合わせた構造
CVT3 心より三相回路の定番。3 本の単心 CV をより合わせ
CVQ4 心より三相 4 線式や予備線付き
MLFC難燃シース難燃性を強化。消防法関連施設に使用

許容電流 早見表(温度別)

周囲温度ごとの許容電流(1 条布設時)を確認できます。 電線選定の目安としてご活用ください。

周囲温度:
サイズIV
(60℃)
VVF
(2心)
単心 (3条)2心3心4心
CV
(1C)
MLFC
(難燃)
CVD
(より)
CV-2C
(共通)
CVT
(より)
CV-3C
(共通)
CVQ
(より)
CV-4C
(共通)
1.6mm27183333272526242423
2.0mm35234646383635323330
2.6mm48326161494645404238
2sq27183333272526242423
3.5sq37244646383635323330
5.5sq49346161494645404238
8sq61427878605751484845
14sq8862110110868073696965
22sq1158014514511010696919186
38sq162113205205154148132126125119
60sq217152275275209198181170171161
100sq298210385385291280253242240229
150sq395230495495374357324308307292
200sq469230605605445423385368365349
250sq556230700700511489445423422401
325sq650230835835610583528500501475

※上記は電流減少係数を考慮しない(1条布設)場合の許容電流値です。
※CVT/CV-3Cは管路引入れ(JCS 0168)を想定した値を基準としています。

※ ケーブルサイズの選定は許容電流だけでなく、電圧降下計算ブレーカー選定も 併せて確認してください。

参照規格・出典

規格番号内容
JEAC8001内線規程(電気技術規程使用設備編)
JIS C 3605電線の許容電流 — 絶縁電線の許容電流計算法
JCS 0168-2低圧ゴム・プラスチックケーブルの許容電流(日本電線工業会規格)

※ 本ツールの計算結果は上記規格に基づく参考値です。 正式な設計では最新の規格・基準を確認のうえ、専門技術者の判断に基づいて電線サイズを決定してください。

よくある質問