ヒューズ選定ツール
機器電流や突入電流から、UL/JIS規格に基づいた適切なヒューズ容量を選定します。
次はこんな計算どうですか?
この計算と合わせて使われることが多いツールです
解説
ヒューズ容量の計算手順
本ツールは以下の手順で推奨ヒューズ容量を算出します。 定常電流に対する最小定格と、突入電流に対する最小定格の両方を計算し、 どちらも満たす値を推奨値として提示します。
① 定常電流ベースの最小定格
② 突入電流ベースの最小定格
③ 推奨定格(①と②の大きい方)
規格による安全率(Safety Factor)
ヒューズは定格電流ぎりぎりで連続使用すると劣化が進みます。 各規格は連続使用時の上限を定めており、これを安全率として計算に組み込みます。
| 規格 | 安全率 | 説明 |
|---|---|---|
| UL/CSA(北米) | 0.75 | 定格電流の75%以下で使用を推奨(NEC連続負荷は0.8) |
| JIS/IEC(欧州・日本) | 約 0.9 | 定格100%近くまで使用可能だが、90%程度以下が推奨 |
例:10A の連続負荷に対し、UL ヒューズなら 10 ÷ 0.75 = 13.3A 以上、 IEC ヒューズなら 10 ÷ 0.9 = 11.1A 以上の定格が必要です。
温度ディレーティング(Temperature Derating)
ヒューズは熱によって溶断するため、周囲温度が高い場合は許容電流が下がります。 一般的には 25℃ を基準(100%)として、 温度が上がると約 0.3%/℃ のペースで定格を低減させる必要があります。 制御盤内部や夏場の屋外設置では温度が 50℃ 以上になることもあるため注意が必要です。
| 周囲温度 | ディレーティング係数 | 使用環境の目安 |
|---|---|---|
| −10℃ | 1.07 | 寒冷地・冷凍倉庫 |
| 25℃ | 1.00 | 標準環境(基準) |
| 40℃ | 0.96 | 屋内一般・空調設備有り |
| 55℃ | 0.91 | 制御盤内・夏期屋外 |
| 70℃ | 0.87 | 高温環境・モーター近傍 |
突入電流(Inrush Current)への対応
電源投入時に流れる一時的な大電流でヒューズが劣化・誤溶断しないよう、 負荷の特性に応じて適切なタイプ(速断型/タイムラグ型)を選びます。 誘導性負荷では定常電流の 5〜10 倍、コンデンサ入力型電源では 10〜30 倍の突入電流が流れる場合があります。
| 負荷の種類 | 突入係数(目安) | 推奨タイプ |
|---|---|---|
| 抵抗負荷(ヒーター・白熱灯) | 1.0 | 速断型(F)でも可 |
| コンデンサ入力型電源(SMPS) | 1.5 | タイムラグ型(T)推奨 |
| モーター・トランス | 2.0 | タイムラグ型(T/TT)推奨 |
| 半導体保護(SCR/IGBT) | 1.0 | 超速断型(FF / aR)専用品 |
標準アンペア定格(IEC 60127 / UL 248)
ヒューズの定格電流は規格で標準値が定められています。計算で求めた最小定格より「直近上位」の標準値を選定します。 中間値(例:4.5A)は存在しないため、5A を選ぶことになります。
| レンジ | 標準アンペア値(A) |
|---|---|
| 小電流(〜1A) | 0.05 / 0.063 / 0.08 / 0.1 / 0.125 / 0.16 / 0.2 / 0.25 / 0.315 / 0.4 / 0.5 / 0.63 / 0.8 / 1.0 |
| 中電流(1〜10A) | 1.25 / 1.6 / 2.0 / 2.5 / 3.15 / 4.0 / 5.0 / 6.3 / 8.0 / 10 |
| 大電流(10A〜) | 12 / 15 / 16 / 20 / 25 / 30 / 32 / 40 / 50 / 63 / 80 / 100 / 125 / 160 / 200 |
ヒューズ種別記号(IEC 60127)
ヒューズ本体に印字される記号で動作特性が分かります。設計時はこの記号を仕様書に明記してください。
| 記号 | 名称 | 動作特性 |
|---|---|---|
| FF | 超速断型 | 半導体保護用、最速で溶断 |
| F | 速断型 | 標準的な速断、突入耐性なし |
| M | 中速型 | F と T の中間特性 |
| T | タイムラグ型 | 突入電流に対し溶断遅延あり |
| TT | 超タイムラグ型 | 大きな突入電流向け、最大の遅延 |
I²t(溶断エネルギー)の概念
I²t はヒューズの溶断に必要なエネルギー量で、電流の二乗と通電時間の積(A²·s)で表されます。 短時間の大電流(突入電流)に対するヒューズの応答を評価する指標です。
メーカーカタログには「溶融 I²t(Melting)」と 「遮断 I²t(Clearing)」が記載されており、 負荷側の突入 I²t がヒューズの溶融 I²t を超えないよう選定します。 半導体保護では特に重要な指標です。
定格電圧と遮断容量
ヒューズには定格電流以外に、回路電圧と短絡電流に応じた選定要素があります。 この2項目を見落とすと、短絡時にヒューズが遮断できず大事故につながります。
定格電圧(Rated Voltage)
使用回路の最大電圧以上を選定します。AC専用品をDC回路に流用すると、 DC は電流ゼロクロスがないためアーク消弧できず遮断不能となります。 標準的な定格電圧は 32V / 125V / 250V / 500V(AC)、24V / 48V / 125V / 250V(DC)。
遮断容量(Breaking Capacity)
想定される短絡電流を安全に遮断できる能力。ガラス管ヒューズは 35〜100A 程度、 セラミック管(充填型)は 1500A〜200kA まで対応します。 産業用主回路では必ずセラミック管 cartridge fuse を使用してください。