ST-05構造・強度

隅肉溶接のど厚・強度計算

次はこんな計算どうですか?

この計算と合わせて使われることが多いツールです

解説

隅肉溶接(すみ肉溶接)のど厚・強度計算は、 溶接サイズ(脚長)と溶接長から有効のど断面積を求め、 鋼種ごとの許容せん断応力度を掛けて許容せん断耐力を算出し、 継手に作用するせん断力に対して安全かを判定する計算です。 鉄骨のガセットプレート接合やブラケット、母材どうしの取り合いなど、現場で最も多用される溶接継手の強度確認に使います。 接合する母材の断面・重量は 鋼材重量計算 で確認できます。

のど厚と有効長の考え方

隅肉溶接の強度は、溶接ビードの断面に内接する三角形の高さ「のど厚」で評価します。 日本建築学会「鋼構造設計規準」では、のど厚をサイズ(脚長)s の 0.7 倍とし、 始終端のクレーター分として両端で 2s を控除した有効溶接長で断面積を求めます。

a = 0.7 × s (のど厚)
Le = L − 2s (有効溶接長・標準)/ Le = L(まわし溶接)
Aw = a × Le × n (有効のど断面積)
Qa = Aw × fs (許容せん断耐力)
τ = Q / Aw 判定: τ ≤ fs(= Qa ≥ Q)
記号説明
s (mm)溶接サイズ=脚長。薄い方の母材板厚以下が原則
a (mm)のど厚。a = 0.7s(理論値は 1/√2 ≒ 0.707s)
L / Le (mm)溶接長 / 有効溶接長(標準は L − 2s)
n溶接線本数(両面すみ肉なら 2)
Aw (mm²)有効のど断面積 = a × Le × n
fs (N/mm²)溶接部の許容せん断応力度
Q / Qa (kN)作用せん断力 / 許容せん断耐力

鋼種別の許容せん断応力度

溶接部の許容せん断応力度 fs は、母材の基準強度 F から 長期 fs = F/(1.5·√3)、短期はその 1.5 倍 fs = F/√3 で求めます。 基準強度 F は建築基準法 平成12年告示2464号で鋼種ごとに定められています(板厚40mm以下)。

鋼種F長期 fs短期 fs
SS400 / SM400 / SN40023590.4135.7
SM490 / SN490325125.1187.6
SM490Y / SM520355136.6205.0

※ 溶接部の許容応力度は溶接金属が母材と同等以上であることが前提(適合する溶接棒・ワイヤの使用)。異種鋼種の継手では低い方の F を採用します。

サイズ規定と注意事項

  • のど厚係数 0.7 と 0.707: 建築鋼構造では a = 0.7s を用います。機械系の理論のど厚は 1/√2 ≒ 0.707s ですが、差は約1%で実用上の影響は軽微です。本ツールは 0.7s を採用しています。
  • 溶接サイズの上下限: サイズ s は薄い方の母材板厚以下が原則で、過大なサイズは溶接変形・割れの原因になります。一方、厚板には最小サイズ(板厚に応じた目安)が規定されており、小さすぎる溶接は急冷割れのおそれがあります。
  • 有効長とまわし溶接: 始終端はクレーターで断面が不完全なため標準では 2s を控除します。端部を回し込むまわし溶接では控除なし(Le = L)として扱えます。
  • 適用範囲: 本ツールはせん断力に対する隅肉溶接の簡易検定です。突合せ溶接・部分溶込み溶接、軸力と曲げが複合する継手は別途検討が必要です。
  • 部材側の検討: 溶接継手だけでなく、母材・梁に生じる応力の確認も必要です。梁の曲げ・たわみは 梁のたわみ・応力計算、コンクリート躯体への取付は ボルト・アンカー引抜強度計算 を併用してください。

よくある質問