諸経費率計算(共通仮設費率・現場管理費率・一般管理費等率)
直接工事費・工期から共通仮設費率(Kr)・現場管理費率(Jo)・一般管理費等率(Gp)を国交省「公共建築工事共通費積算基準」の対数式で算定。建築/電気/機械/昇降機の7区分に対応した工事価格の4階層積み上げ計算。
次はこんな計算どうですか?
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解説
諸経費率計算は、 直接工事費と工期から共通仮設費・現場管理費・一般管理費等を順に積み上げ、最終的な工事価格を算定する積算実務の中核処理です。 本ツールは国土交通省 公共建築工事共通費積算基準(令和8年改定) に掲載されている共通仮設費率(Kr)・現場管理費率(Jo)・一般管理費等率(Gp)の対数式を実装し、 建築・電気・機械・昇降機の 7区分に対応しています。 変更契約が発生した場合の差額計算には 設計変更数量計算 と組み合わせてお使いください。 算定した諸経費をそのまま見積書に落とし込むなら、明細から諸経費を自動加算してPDF出力できる 工事見積書 作成(諸経費自動計算) が便利です。工事規模別に率がおよそ何%になるかの目安を一覧で見たいときは 諸経費率 早見表 をご覧ください。
工事費の4階層積み上げ構造
公共建築工事の工事価格は、直接工事費を起点に「共通仮設費 → 現場管理費 → 一般管理費等」を順に加算する4階層で構成されます。 単純に直接工事費へ一律の経費率をかける民間慣行と異なり、各階層の基数(かける対象)が直接工事費・純工事費・工事原価と切り替わるのが最大のポイントです。 順序を取り違えると数十万〜数百万円単位でズレるため、本ツールは積み上げ過程をすべて表示しています。
純工事費 Np = 直接工事費 P + 共通仮設費
現場管理費 = 純工事費 Np × Jo
工事原価 Cp = 純工事費 Np + 現場管理費
一般管理費等 = 工事原価 Cp × Gp
工事価格 = 工事原価 Cp + 一般管理費等
| 階層 | 基数 | 主な内訳 |
|---|---|---|
| 共通仮設費 | 直接工事費 P | 仮囲い・足場・揚重・運搬・準備費・電力水道など |
| 現場管理費 | 純工事費 Np | 現場員給料・労務管理費・安全費・福利厚生・調査試験費など |
| 一般管理費等 | 工事原価 Cp | 本社経費・支店費・付加利益・契約保証費など |
工事価格に消費税を加えた金額が請負金額です。消費税の計算には 消費税・源泉徴収計算 を併用してください。
計算式と記号
共通仮設費率 Kr と現場管理費率 Jo は 指数関数 Exp と自然対数 ln を組み合わせた対数式で算定し、 一般管理費等率 Gp は 常用対数 Log10 による1次式で算定します。 いずれも結果は小数点以下第3位を四捨五入し2位止め(例: 5.43 %)で扱います。
Jo (%) = Exp(a + b · ln Np + c · ln T) …現場管理費率
Gp (%) = a + b · Log10(Cp) …一般管理費等率
| 記号 | 説明 |
|---|---|
| P (千円) | 直接工事費(材料費+労務費+直接経費) |
| Np (千円) | 純工事費 = P + 共通仮設費 |
| Cp (千円) | 工事原価 = Np + 現場管理費 |
| T (ヶ月) | 工期。半月は 0.5 として小数入力可 |
| a, b, c | 工種別係数(次節の係数表) |
| Exp / ln / Log10 | 指数関数(Excel: EXP)/自然対数(LN)/常用対数(LOG10) |
Excel で計算するには
対数式はそのまま Excel 関数に置き換えられます。次節の係数表から a・b・c を当てはめれば、自分のシートで率を再現できます (対数式は率を % で直接返すため ×100 は不要)。
現場管理費率 Jo =ROUND(EXP(a + b*LN(Np) + c*LN(T)), 2)
一般管理費等率 Gp =ROUND(a + b*LOG10(Cp), 2)
P・Np・Cp はいずれも千円単位のセルを参照します(本ツールの入力は万円ですが、内部で千円へ換算しています)。 下のウィジェットで工種を選ぶと、その係数を当てはめた式を1つずつコピーできます。
選んだ工種の係数を当てはめた Excel 数式を表示します。式は1つずつコピーして、対応するセルに貼り付けてください。
=ROUND(EXP(3.346 - 0.282*LN(P) + 0.625*LN(T)), 2)=ROUND(EXP(5.899 - 0.447*LN(Np) + 0.831*LN(T)), 2)=ROUND(32.597 - 3.591*LOG10(Cp), 2)P=直接工事費[千円]、Np=純工事費[千円]、Cp=工事原価[千円]、T=工期[月]を各セルに置き換えてください。 Gp は適用範囲外だと固定値 20.11% / 9.34% になります。
工事種別別の係数(公式準拠)
建築工事・電気設備工事・機械設備工事・昇降機設備の 7区分で係数が異なり、 さらに新営/改修でも値が変わります。本ツールは下表の係数を実装しています。
現場管理費率 Jo の係数
| 工種 | a | b | c |
|---|---|---|---|
| 建築工事(新営) | 5.899 | -0.447 | 0.831 |
| 建築工事(改修) | 7.079 | -0.538 | 0.773 |
| 電気設備工事(新営) | 5.961 | -0.387 | 0.629 |
| 電気設備工事(改修) | 6.038 | -0.431 | 0.736 |
| 機械設備工事(新営) | 4.723 | -0.252 | 0.428 |
| 機械設備工事(改修) | 6.221 | -0.461 | 0.8 |
| 昇降機設備 | 7.438 | -0.448 | —(工期非依存) |
共通仮設費率 Kr の係数(別表-1〜7)
| 工種 | a | b | c | 適用範囲(P) |
|---|---|---|---|---|
| 建築工事(新営) | 3.346 | -0.282 | 0.625 | 100〜50,000 万円 |
| 建築工事(改修) | 3.962 | -0.315 | 0.531 | 30〜10,000 万円 |
| 電気設備工事(新営) | 3.086 | -0.283 | 0.673 | 100〜10,000 万円 |
| 電気設備工事(改修) | 1.751 | -0.119 | 0.393 | 30〜10,000 万円 |
| 機械設備工事(新営) | 2.173 | -0.178 | 0.481 | 100〜10,000 万円 |
| 機械設備工事(改修) | 2.478 | -0.173 | 0.383 | 30〜10,000 万円 |
| 昇降機設備 | 4.577 | -0.323 | —(工期非依存) | 50〜5,000 万円 |
一般管理費等率 Gp の係数(別表-15・全工種共通)
| 工事原価 Cp | 適用 | Gp の値 |
|---|---|---|
| ≤ 300 万円 | 下限固定値 | 20.11 % |
| 300 万円超〜30 億円以下 | 対数式 | 32.597 − 3.591 × Log10(Cp) |
| > 30 億円 | 上限固定値 | 9.34 % |
Gp は令和8年改定で全工種共通の単一式に統合されました(建築・電気・機械・昇降機すべて同じ)。 中間域では Cp が大きくなるほど Gp が低下する逓減カーブになり、 例えば Cp = 1 億円なら Gp ≒ 14.64 %、Cp = 10 億円なら Gp ≒ 11.05 % と段階的に下がります。 複数業者の見積を並べて諸経費率の差を確認したい場合は 見積比較表作成 と本ツールを併用してください。
適用範囲と注意事項
対象は国土交通省「公共建築工事共通費積算基準」に基づく建築・電気設備・機械設備・昇降機の各工事です。土木工事(道路・河川・造成など)は、国土交通省「土木工事積算基準」という別体系で共通仮設費率・現場管理費率・一般管理費等率の係数も算定方法も異なります。 土木工事の諸経費率は本ツールでは算定できませんので、各発注機関の土木積算基準を参照してください。
- 係数は令和8年改定(令和8年3月11日 国営積第15号)の別表-1〜15 公式値を採用。次回改定時には差し替えが必要です
- 補正係数(イメージアップ経費・地域補正・特殊工事補正など)と積上げ算入分は反映していません
- 本表の各率は施工場所が一般的な市街地の比率です(公式注記)。市街地以外や特殊条件では別途定めることができます
- 適用範囲外(直接工事費・純工事費・工事原価が下限以下/上限以上)では参考値として算定式の値、または上限/下限の固定値を表示します
- 民間工事との差: 民間工事では商習慣として現場管理費+一般管理費等の合計が純工事費の8〜15%程度に収まることが多く、 公共建築工事の対数式と必ずしも一致しません。発注形態(公共/民間/JV)に応じて使い分けてください。
- 設計変更時の取り扱い: 契約後に直接工事費が変動した場合、諸経費率は当初契約時の率を据え置く運用が一般的です。 ただし変更率が概ね30%を超える大幅変更では再算定する場合もあるため、発注者と協議のうえ判断してください。
- 積上げ算入分: 率計算による共通仮設費・現場管理費に加えて、工事固有の項目(仮設電力契約料・特殊重機運搬・遠隔地宿舎費など)は 「積上げ」として個別に算入します。本ツールは率計算分のみを算定します。
- 出典: 国土交通省 「公共建築工事共通費積算基準」 (平成15年制定/令和8年改定)。係数値は同基準の別表に依拠しています。