ES-04積算

諸経費率計算(共通仮設費率・現場管理費率・一般管理費等率)

次はこんな計算どうですか?

この計算と合わせて使われることが多いツールです

解説

諸経費率計算は、 直接工事費と工期から共通仮設費・現場管理費・一般管理費等を順に積み上げ、最終的な工事価格を算定する積算実務の中核処理です。 本ツールは国土交通省 公共建築工事共通費積算基準(令和8年改定) に掲載されている共通仮設費率(Kr)・現場管理費率(Jo)・一般管理費等率(Gp)の対数式を実装し、 建築・電気・機械・昇降機の 7区分に対応しています。 変更契約が発生した場合の差額計算には 設計変更数量計算 と組み合わせてお使いください。 算定した諸経費をそのまま見積書に落とし込むなら、明細から諸経費を自動加算してPDF出力できる 工事見積書 作成(諸経費自動計算) が便利です。工事規模別に率がおよそ何%になるかの目安を一覧で見たいときは 諸経費率 早見表 をご覧ください。

工事費の4階層積み上げ構造

公共建築工事の工事価格は、直接工事費を起点に「共通仮設費 → 現場管理費 → 一般管理費等」を順に加算する4階層で構成されます。 単純に直接工事費へ一律の経費率をかける民間慣行と異なり、各階層の基数(かける対象)が直接工事費・純工事費・工事原価と切り替わるのが最大のポイントです。 順序を取り違えると数十万〜数百万円単位でズレるため、本ツールは積み上げ過程をすべて表示しています。

共通仮設費 = 直接工事費 P × Kr
純工事費 Np = 直接工事費 P + 共通仮設費
現場管理費 = 純工事費 Np × Jo
工事原価 Cp = 純工事費 Np + 現場管理費
一般管理費等 = 工事原価 Cp × Gp
工事価格 = 工事原価 Cp + 一般管理費等
階層基数主な内訳
共通仮設費直接工事費 P仮囲い・足場・揚重・運搬・準備費・電力水道など
現場管理費純工事費 Np現場員給料・労務管理費・安全費・福利厚生・調査試験費など
一般管理費等工事原価 Cp本社経費・支店費・付加利益・契約保証費など

工事価格に消費税を加えた金額が請負金額です。消費税の計算には 消費税・源泉徴収計算 を併用してください。

計算式と記号

共通仮設費率 Kr と現場管理費率 Jo は 指数関数 Exp と自然対数 ln を組み合わせた対数式で算定し、 一般管理費等率 Gp は 常用対数 Log10 による1次式で算定します。 いずれも結果は小数点以下第3位を四捨五入し2位止め(例: 5.43 %)で扱います。

Kr (%) = Exp(a + b · ln P + c · ln T) …共通仮設費率
Jo (%) = Exp(a + b · ln Np + c · ln T) …現場管理費率
Gp (%) = a + b · Log10(Cp) …一般管理費等率
記号説明
P (千円)直接工事費(材料費+労務費+直接経費)
Np (千円)純工事費 = P + 共通仮設費
Cp (千円)工事原価 = Np + 現場管理費
T (ヶ月)工期。半月は 0.5 として小数入力可
a, b, c工種別係数(次節の係数表)
Exp / ln / Log10指数関数(Excel: EXP)/自然対数(LN)/常用対数(LOG10)

Excel で計算するには

対数式はそのまま Excel 関数に置き換えられます。次節の係数表から a・b・c を当てはめれば、自分のシートで率を再現できます (対数式は率を % で直接返すため ×100 は不要)。

共通仮設費率 Kr =ROUND(EXP(a + b*LN(P) + c*LN(T)), 2)
現場管理費率 Jo =ROUND(EXP(a + b*LN(Np) + c*LN(T)), 2)
一般管理費等率 Gp =ROUND(a + b*LOG10(Cp), 2)

P・Np・Cp はいずれも千円単位のセルを参照します(本ツールの入力は万円ですが、内部で千円へ換算しています)。 下のウィジェットで工種を選ぶと、その係数を当てはめた式を1つずつコピーできます。

選んだ工種の係数を当てはめた Excel 数式を表示します。式は1つずつコピーして、対応するセルに貼り付けてください。

共通仮設費率 Kr (%)(建築工事(新営))
=ROUND(EXP(3.346 - 0.282*LN(P) + 0.625*LN(T)), 2)
現場管理費率 Jo (%)(建築工事(新営))
=ROUND(EXP(5.899 - 0.447*LN(Np) + 0.831*LN(T)), 2)
一般管理費等率 Gp (%)(全工種共通)
=ROUND(32.597 - 3.591*LOG10(Cp), 2)

P=直接工事費[千円]、Np=純工事費[千円]、Cp=工事原価[千円]、T=工期[月]を各セルに置き換えてください。 Gp は適用範囲外だと固定値 20.11% / 9.34% になります。

工事種別別の係数(公式準拠)

建築工事・電気設備工事・機械設備工事・昇降機設備の 7区分で係数が異なり、 さらに新営/改修でも値が変わります。本ツールは下表の係数を実装しています。

現場管理費率 Jo の係数

工種abc
建築工事(新営)5.899-0.4470.831
建築工事(改修)7.079-0.5380.773
電気設備工事(新営)5.961-0.3870.629
電気設備工事(改修)6.038-0.4310.736
機械設備工事(新営)4.723-0.2520.428
機械設備工事(改修)6.221-0.4610.8
昇降機設備7.438-0.448—(工期非依存)

共通仮設費率 Kr の係数(別表-1〜7)

工種abc適用範囲(P)
建築工事(新営)3.346-0.2820.62510050,000 万円
建築工事(改修)3.962-0.3150.5313010,000 万円
電気設備工事(新営)3.086-0.2830.67310010,000 万円
電気設備工事(改修)1.751-0.1190.3933010,000 万円
機械設備工事(新営)2.173-0.1780.48110010,000 万円
機械設備工事(改修)2.478-0.1730.3833010,000 万円
昇降機設備4.577-0.323—(工期非依存)505,000 万円

一般管理費等率 Gp の係数(別表-15・全工種共通)

工事原価 Cp適用Gp の値
≤ 300 万円下限固定値20.11 %
300 万円超〜30 億円以下対数式32.597 − 3.591 × Log10(Cp)
> 30 億円上限固定値9.34 %

Gp は令和8年改定で全工種共通の単一式に統合されました(建築・電気・機械・昇降機すべて同じ)。 中間域では Cp が大きくなるほど Gp が低下する逓減カーブになり、 例えば Cp = 1 億円なら Gp ≒ 14.64 %、Cp = 10 億円なら Gp ≒ 11.05 % と段階的に下がります。 複数業者の見積を並べて諸経費率の差を確認したい場合は 見積比較表作成 と本ツールを併用してください。

適用範囲と注意事項

本ツールは「建築」工事の基準です(土木工事は対象外)

対象は国土交通省「公共建築工事共通費積算基準」に基づく建築・電気設備・機械設備・昇降機の各工事です。土木工事(道路・河川・造成など)は、国土交通省「土木工事積算基準」という別体系で共通仮設費率・現場管理費率・一般管理費等率の係数も算定方法も異なります。 土木工事の諸経費率は本ツールでは算定できませんので、各発注機関の土木積算基準を参照してください。

本ツールは概算検討用の簡易版です
  • 係数は令和8年改定(令和8年3月11日 国営積第15号)の別表-1〜15 公式値を採用。次回改定時には差し替えが必要です
  • 補正係数(イメージアップ経費・地域補正・特殊工事補正など)と積上げ算入分は反映していません
  • 本表の各率は施工場所が一般的な市街地の比率です(公式注記)。市街地以外や特殊条件では別途定めることができます
  • 適用範囲外(直接工事費・純工事費・工事原価が下限以下/上限以上)では参考値として算定式の値、または上限/下限の固定値を表示します
  • 民間工事との差: 民間工事では商習慣として現場管理費+一般管理費等の合計が純工事費の8〜15%程度に収まることが多く、 公共建築工事の対数式と必ずしも一致しません。発注形態(公共/民間/JV)に応じて使い分けてください。
  • 設計変更時の取り扱い: 契約後に直接工事費が変動した場合、諸経費率は当初契約時の率を据え置く運用が一般的です。 ただし変更率が概ね30%を超える大幅変更では再算定する場合もあるため、発注者と協議のうえ判断してください。
  • 積上げ算入分: 率計算による共通仮設費・現場管理費に加えて、工事固有の項目(仮設電力契約料・特殊重機運搬・遠隔地宿舎費など)は 「積上げ」として個別に算入します。本ツールは率計算分のみを算定します。
  • 出典: 国土交通省 「公共建築工事共通費積算基準」 (平成15年制定/令和8年改定)。係数値は同基準の別表に依拠しています。

よくある質問