EL-01電気設備

電線管サイズ選定

次はこんな計算どうですか?

この計算と合わせて使われることが多いツールです

解説

電線管サイズ選定は、 ケーブルの種類と収容本数から最適な配管サイズを計算し、 適切な電線管を決定するための選定計算です。内線規程で定められた占積率(配管占有率)の上限を守りつつ、 施工性とコストのバランスがとれた電線管を選定するために使います。

電線から管を選ぶのではなく、管の寸法そのものを調べたい場合は 電線管サイズ早見表をご覧ください。E・C・G・VE・PF・CD ほか10管種91サイズの呼び径・外径・厚さ・内径・管内断面積を一覧で引けます。

本ツールでできること

  • 電線管サイズの自動選定 — IV・VVF・CV等の電線種類とケーブル収容本数を入力するだけで最適な配管サイズを算出
  • 占積率の自動計算 — 32% / 48% / 60% の各基準に対する適合判定
  • 高圧ケーブル対応 — 6600V CV・CVT の1.5倍ルールによるサイズ選定
  • 複数管種の比較 — 金属管・VE管・PF管・CD管・KLVのサイズ選定を一括比較
  • URL共有 — 入力条件をURLパラメータで保存・共有可能

占積率の基準(内線規程 3110-5)

電線管サイズ選定の基本は占積率(電線管の断面積に対する電線の断面積の割合)です。内線規程 3110-5(管の太さの選定)では、 配管内の占有率に以下の上限を定めています。なお電気設備技術基準の解釈 第159条(金属管工事)に占積率の数値規定はなく、占積率は内線規程が定める基準です。

占積率適用条件
32%以下異なる太さの電線を同一管に収める場合(原則)
48%以下すべて同一太さの絶縁電線で、管の屈曲が少ない場合
60%以下短い管(がいしの防護など)に収める場合に慣行的に使われる値。3110-5 に 60% の規定はありません

※ 本ツールの電線管サイズ計算では、入力された電線の組み合わせに応じて32%または48%基準を自動判定します。

占積率の計算式

配管サイズ算出の基本となる占積率計算は、以下の式で求めます。

占積率 (%) = 電線断面積の合計 / 電線管の内断面積 × 100
項目意味
電線断面積電線の仕上がり外径から算出した断面積(被覆を含む)の合計
管の内断面積電線管の内径から算出した断面積(= π × (内径/2)²)
判定基準算出した占有率が32%(または48%)以下であれば適合

平形ケーブル(VVF・EM-EEF)の断面積

VVFEM-EEFなどの 平形ケーブルは断面が長方形に近く、丸形ケーブルと同じ円換算 (π × (外径/2)²)で計算すると断面積を大幅に過大評価してしまいます。 本ツールでは、平形ケーブルについては長径 × 短径の 長方形近似で電線断面積を算出しています。これは実務上の慣行で、 この近似そのものを定めた規程上の表は特定できていません。 なお 3110節は絶縁電線を管に収める場合の規定で、 VVF などのケーブルは本来 3165節(1.5倍ルール)の管轄です。

平形ケーブルの断面積 = 長径 × 短径
品種長径 × 短径 (mm)本ツール断面積 (mm²)
VVF 1.6mm-2C9.4 × 6.258.3
VVF 2.0mm-2C10.5 × 6.669.3
VVF 2.0mm-3C14.0 × 6.692.4
VVF 2.6mm-3C17.0 × 7.6129.2

VVR(丸形シース)はシースが丸形なので、丸形ケーブルと同じπ × (外径/2)²で計算します。VVF と VVR を取り違えないよう注意してください。

※ 寸法は主要メーカー(富士電線・カワイ電線・矢崎エナジーシステム)カタログの代表値で、 導体径に応じて短径は 6.2 / 6.6 / 7.6 mm の 3 段階に分かれます。 メーカー・ロットにより数mm程度の誤差があるため、実際の施工では仕様書を確認してください。

占積率が制限される理由

内線規程が配管占有率を制限しているのには、電気的・物理的な3つの理由があります。

放熱性の確保(許容電流)

電線に電流が流れると熱が発生します。管内に電線が密集すると放熱が阻害され、 絶縁被覆の劣化を早めたり、許容電流が低下します。 32%という余裕は、管内での放熱を確保し電線本来の性能を維持するために重要です。

入線時の被覆保護(施工性)

管内が適度に空いていることで、入線時に電線同士が擦れ合って被覆が傷つくのを防ぎます。 特に屈曲部が多い配管経路では引き入れ時の張力が大きくなるため、十分な空きスペースが必要です。

ジャミング(詰まり)の防止

特に3本のケーブルを入れる際、特定の隙間比率でケーブル同士が三角形に噛み込み 全く動かなくなる現象(ジャミング)が発生することがあります。 占積率の制限値は、こうした物理的なトラブルを未然に防ぐ安全圏としても機能しています。

高圧ケーブルの管路サイズ選定(1.5倍ルール)

6600V高圧ケーブルを電線管・防護管に収める場合は、低圧の占積率ルールではなく、内線規程 3165-1 ①【注1】に基づく「1.5倍ルール」が適用されます。 3165節はケーブル配線一般の節で、この 1.5 倍は高圧に限らず低圧ケーブルを管に収める場合にも適用されます(本ツールは高圧モードでのみ 1.5 倍を用いています)。 2条以上を1本の管に収める場合の「外接円の直径の1.5倍以上」はJIS C 3653:2004 箇条4.2 k) が出典です。

管の内径 ≥ ケーブル仕上がり外径 × 1.5
布設条件管内径の要件
1条布設管の内径 ≥ ケーブル仕上がり外径 × 1.5
2条以上管の内径 ≥ ケーブルを集合した外接円径 × 1.5

低圧との違い

低圧(600V以下)の電線管選定では管内断面積に対する電線断面積の面積比率(占積率)で判定しますが、 高圧ではケーブル外径に対する管内径の倍率で判定します。 高圧ケーブルは絶縁層が厚く曲げに対する制約も大きいため、入線時の被覆保護や曲がり部での張力を考慮して より大きな余裕が必要とされています。

関連する電気設備計算

電線管サイズ選定は単独では完結せず、以下の計算と組み合わせて総合的に配線設計を行います。

計算ツール電線管選定との関係
許容電流・ケーブル選定ケーブルサイズが決まらないと電線管の選定ができない(入力の前段階)
電圧降下計算長距離配線ではサイズアップが必要になり、電線管サイズにも影響
ケーブルラック占積率電線管ではなくラックに布設する場合の占有率計算

参照規格データ

計算に使用している電線の外径・電線管の内径データは、以下のJIS規格および主要メーカーカタログの代表値を採用しています。 実際の製品はメーカーにより数mm程度の誤差がある場合があります。 各電線の仕上がり外径・許容電流・概算質量を種別ごとに一覧で確認するには 電線・ケーブル早見表 を、三相電動機の分岐回路に通す電線太さの目安は 電動機 規約電流・分岐回路早見表 をご利用ください。

電線・ケーブル

  • IV電線: JIS C 3307
  • VVFケーブル: JIS C 3342
  • CV / CVT (600V): JIS C 3605
  • 6600V CV / CVT: JIS C 3606
  • 6600V CV(EE) / CVT(EE): JIS C 3606準拠
  • EM 6600V CE/F / CET/F: JIS C 3606
  • 通信線: 主要メーカーカタログ値

電線管

  • 金属管 (E/C/G): JIS C 8305
  • VE管: JIS C 8430
  • PF管・CD管: JIS C 8411
  • KLV: 日本シーム工業(MAS規格)

電線管サイズデータ一覧

計算上の注意事項

  • 仕上がり外径の差異: 電線の仕上がり外径はメーカー・ロットにより数mm程度の誤差があります。 本ツールではJIS規格の代表値を使用していますが、実際の施工では最大仕上がり外径を確認してください。
  • 屈曲部の影響: 管路に屈曲部(ベンド)が多い場合、計算上は適合でも入線が困難になることがあります。 屈曲が3箇所以上ある場合はプルボックスの設置を検討してください。
  • 入線張力: 長距離の配管経路では入線張力がケーブルの許容値を超えないか、別途確認が必要です。
  • 電線管種別の使い分け: 屋内隠ぺい配管には PF管、露出配管には金属管・VE管が一般的です。 PF管は非延焼性で隠ぺい・露出とも使えますが、CD管は延焼性のため用途が限定されます。 電技解釈 第158条第3項第七号により、CD管は直接コンクリートに埋め込むか、 不燃性・自消性のある難燃性の管やダクトに収めて施設する場合に限られ、 そのまま隠ぺい配管や露出配管には使えません。CD管がオレンジ色なのは JIS C 8411 が延焼性の電線管の色を規定しているためで、現場で識別できるようにするためです。

よくある質問