規格・資料

照度基準早見表(用途別の推奨照度・JIS Z 9110/Z 9125)

事務所・学校・工場・店舗・病院・住宅など用途別の推奨照度(維持照度)を施設種別ごとの表で一覧。JIS Z 9110:2024/Z 9125:2023 に基づき、労働安全衛生規則・事務所衛生基準規則・学校環境衛生基準の法定最低照度も収録。施設をまたいで選んだ場所を並べて比べられる比較表・並べ替え・CSV書き出し・URL共有に対応。登録不要・端末完結。

表示する項目の列

表の左端「比較」列のにチェックを入れると、施設をまたいで必要な明るさを並べて比べられます(最大6件)。維持照度はタップでコピー · 見出しので列ごとまとめてコピー

事務所

JIS Z 9110・Z 912510
事務所の場所・作業別の維持照度(推奨照度, lx)一覧(JIS Z 9110・Z 9125)
比較
場所・作業
備考
事務室
設計室・製図室専用の製図室は JIEG-008 で 1500lx
役員室
会議室・応接室
電子計算機室・サーバ室
受付
書庫
更衣室・便所
階段屋内の非常階段は 50lx
廊下
事務室は現行の設計指針でも 750lx。設計室・製図室は JIS の維持照度は 750lx だが、手描き製図の専用室ではオフィス照明設計指針(JIEG-008)で 1500lx とする。CAD 中心なら 500〜750lx で足りる。

学校・教育施設

JIS・学校環境衛生基準8
学校・教育施設の場所・作業別の維持照度(推奨照度, lx)一覧(JIS・学校環境衛生基準)
比較
場所・作業
備考
製図室
黒板面鉛直面照度。500lx 以上が望ましい
実験実習室
図書閲覧室
教室学校環境衛生基準では 500lx 以上が望ましい
教職員室・事務室
体育館(一般)
講堂
教室は JIS の維持照度 300lx だが、学校環境衛生基準(学校保健安全法 第6条)は「500lx 以上が望ましい・下限 300lx」とし、実務は 500lx で設計することが多い。黒板面は鉛直面照度で 500lx 以上が望ましい。JIS と文科省基準が併存する。

工場

JIS Z 9110・Z 912510
工場の場所・作業別の維持照度(推奨照度, lx)一覧(JIS Z 9110・Z 9125)
比較
場所・作業
備考
非常に精密な視作業精密機械・電子部品の製造、組立・検査 a
精密な視作業
やや精密な視作業選別、印刷の校正、組立・検査 b
普通の視作業組立・検査 c、包装 a
制御室(計器盤の監視)
粗な視作業包装 b、荷造 a
作業を伴う倉庫
荷積み・荷降ろし
ごく粗な視作業包装 c、荷造 b・c
倉庫・通路
視作業の細かさで段階が分かれる(非常に精密 1500 / 精密 1000 / やや精密 750 / 普通 500 / 粗 200)。労働安全衛生規則 第604条 の最低照度(精密 300 / 普通 150 / 粗 70lx)は、これとは別の法的下限。

店舗・商業施設

JIS Z 9110・Z 91258
店舗・商業施設の場所・作業別の維持照度(推奨照度, lx)一覧(JIS Z 9110・Z 9125)
比較
場所・作業
備考
重要陳列部(大形店)
ショーウィンドウ 重要部
重要陳列部(一般店舗)
ショーウィンドウ 全般
レジスタ・包装台
店内全般(大形店)
遊興飲食店の食卓
食堂・レストラン客席
陳列部は店格(大形店 / 一般店舗)で値が変わる。ショーウィンドウは重要部 2000 / 全般 750 で、その中間の 1500 という区分は JIS にない。

医療・福祉施設

JIS Z 9110・Z 91257
医療・福祉施設の場所・作業別の維持照度(推奨照度, lx)一覧(JIS Z 9110・Z 9125)
比較
場所・作業
備考
手術室(室内一般照明)手術野は無影灯で別途確保
救急室・処置室
診察室鉛直面 150lx 以上・Ra90 以上
一般検査室
待合室
病室深夜の病室・廊下は 5lx
眼底検査室
室内の一般照明の値。手術野は無影灯(10,000〜100,000lx)で照らし、一般照明基準の対象外。診察室は演色性 Ra90 以上・鉛直面 150lx 以上も求められる。

住宅

JIS Z 9125:20239
住宅の場所・作業別の維持照度(推奨照度, lx)一覧(JIS Z 9125:2023)
比較
場所・作業
備考
書斎・子供室(勉強・読書)
寝室(読書)
台所(調理台・流し台)
食堂(食卓)
玄関内側(靴脱ぎ・飾り棚)
居間(団らん)
台所(全般)
居間(全般)
寝室(全般)深夜は 2lx
住宅は現行では屋内照明基準(JIS Z 9125:2023)に収載。同じ部屋でも「全般」と「団らん・読書」等の局部で値が大きく異なる(居間 全般 50 / 団らん 200 / 読書 500)。

公共施設・共同住宅共用部

JIS Z 9110・Z 91259
公共施設・共同住宅共用部の場所・作業別の維持照度(推奨照度, lx)一覧(JIS Z 9110・Z 9125)
比較
場所・作業
備考
管理事務所(管理人室)
受付
集会室
ロビー
エレベータホール
洗濯場
階段
廊下・棟の出入口
車庫・駐輪場
共同住宅の共用部・公共施設のロビー等。防犯の観点から、夜間の下限照度が別途求められる場合がある。

屋外・駐車場

JIS Z 9110:20249
屋外・駐車場の場所・作業別の維持照度(推奨照度, lx)一覧(JIS Z 9110:2024)
比較
場所・作業
備考
地下歩行者通路(交通量 多い)
屋内駐車場 車路(交通量 多い)
屋内駐車場 車路(中)
屋内駐車場 駐車位置(出入り多い)
屋内駐車場 車路・駐車位置(少ない)
屋外駐車場 車路(多い)
屋外 歩行者通路(多い)
屋外 歩行者通路(中)
屋外駐車場・歩行者通路(少ない)
屋外・構内・駐車場は総則(JIS Z 9110:2024)側。交通量で段階が変わる。屋外は周囲の暗さとの順応バランスも考慮する。

この早見表について

照度基準早見表は、事務所・学校・工場・店舗・病院・住宅などの用途別の推奨照度(維持照度)を、施設種別ごとの表に分けて引ける一覧です。値はすべて維持照度(Em)——ランプの経年低下や器具・室内の汚れを見込んだうえで、使用期間を通じて下回らないよう維持すべき平均照度です。約70項目を施設種別8群に分け、明るい順に並べています。場所や照度で検索でき、施設をまたいで選んだ場所を比較表に並べて、CSV書き出しとURL共有ができます。登録不要・端末完結です。

必要な灯数や平均照度を計算したい場合は、この表ではなく計算機を使ってください。本表は「用途ごとの基準値を引く」ための表です。部屋の寸法・反射率・器具光束から必要灯数と平均照度を光束法で算出するなら 照度計算(光束法)が対応します。この表で用途の目標照度を決めてから計算機に入れると、一連の照明設計になります。

推奨照度は JIS Z 9110 から JIS Z 9125 へ移った

照度基準を調べると JIS Z 9110 と JIS Z 9125 の2つが出てきます。2024年の改正で役割が分かれました。

規格名称・役割
JIS Z 9110:2024照明基準総則。設計の枠組みと、屋外・構内照明の基準を規定
JIS Z 9125:2023屋内照明基準。事務所・教育・工業・商業・医療・住宅など屋内の詳細な推奨照度表を集約(ISO 8995-1 対応)

JIS Z 9125 は 2023年の改正で対象を屋内全般に広げ、名称も「屋内作業場所の照明基準」から「屋内照明基準」へ変わりました。これにより住宅の居間・寝室などの非作業空間の照度も Z 9125:2023 に入っています。本表では、屋内の各群を Z 9110・Z 9125、屋外・駐車場の群を総則の Z 9110:2024 として出典を示しています。なお 2019年の産業標準化法の施行で「日本工業規格」は「日本産業規格」に改称されました(略称 JIS は不変)。

「維持照度」は初期照度ではない

表の値は維持照度 Emで、新設時の明るさ(初期照度)ではありません。照明は時間とともにランプの光束が落ち、器具や壁も汚れて暗くなります。維持照度は、その低下を見込んだ保守率を割り引いたあとでも下回らないよう維持すべき下限値です。したがって新設時は維持照度より明るく設計します。光束法の必要灯数 N = 照度 E × 面積 A ÷(器具光束 F × 照明率 U × 保守率 M)で、分母に保守率 M が入るのはこのためです。

「照度範囲(下限-標準-上限)」で示す方式は古い版のものです。三段階の照度範囲は JIS Z 9110:1979 の方式で、2010年代の改正でISO/CIEに合わせた維持照度の単一値方式へ移行済みです。2024年の改正で範囲から単一値に変わったわけではありません。維持照度は「面の平均値」を規定するもので、面内のムラ(最小/平均)は別に照度均斉度 Uoで規定されます。

JIS の推奨照度と、法令の最低照度は別物

JIS の推奨照度は目標(努力目標)で、それ自体に法的強制力はありません。一方、次の法令は下回ってはならない最低照度を定めています。JIS が「目標」、法令が「床」で、JIS の推奨値は法令の下限より高いのが通常です。

法令区分最低照度
労働安全衛生規則 第604条
一般の作業場
精密な作業300 lx 以上
普通の作業150 lx 以上
粗な作業70 lx 以上
事務所衛生基準規則 第10条
事務所・令和4年12月改正
一般的な事務作業300 lx 以上
付随的な事務作業150 lx 以上
学校環境衛生基準
文科省告示
教室及びそれに準ずる場所下限 300 lx
(500 lx 以上が望ましい)

注意したいのは、3区分(精密300/普通150/粗70)から2区分へ変わったのは事務所衛生基準規則だけだという点です。工場や現場など一般の作業場に適用される労働安全衛生規則 第604条は、いまも3区分のままです。事務所については令和4年(2022年)12月の改正で最下位の「粗70lx」が外れ、実質的な下限が引き上げられました。厚生労働省は、個々の作業に応じた適切な照度は JIS Z 9110 などの基準を参照するよう案内しています。

出典で値が割れる場所の読み方

同じ場所でも、参照する基準や設計指針で推奨照度が異なることがあります。本表は JIS の維持照度を照度の列に採り、もう一方を備考に併記しています。代表的なものは次のとおりです。

  • 教室: JIS の維持照度は 300lx ですが、学校環境衛生基準は「500lx 以上が望ましい・下限 300lx」とし、実務では 500lx で設計するのが一般的です。
  • 黒板面: 鉛直面の照度で 500lx 以上が望ましいとされます。「黒板は教室より明るく」という設計慣行から 750lx とする例もありますが、基準として明記されているのは 500lx です。
  • 設計室・製図室: JIS の維持照度は 750lx。手描き製図の専用室ではオフィス照明設計指針(JIEG-008)で 1500lx とし、CAD 中心なら 500〜750lx で足ります。
  • ショーウィンドウ: JIS は重要部 2000lx/全般 750lx で、その中間の 1500lx という区分はありません。
  • 手術野: 手術室の室内一般照明は 1000lx ですが、手術野そのものは無影灯(1万〜10万lx)で照らす特殊照明で、一般照明基準の対象外です。本表には含めていません。

収録範囲と関連ツール

本表は現場で常用される場所を施設種別ごとに抜粋したもので、規格書の全項目を転記したものではありません。屋内の値は JIS Z 9125:2023 と、その前身である JIS Z 9110:2011 の照度基準に基づき、屋外・駐車場は総則の JIS Z 9110:2024 に基づきます。同じ場所でも「全般」と「団らん・読書」等の局部で値が大きく異なる(住宅の居間は全般50/団らん200/読書500lx)ため、場所名の粒度に注意して引いてください。

本表は規格・基準の値を参照しやすくまとめたもので、設計・施工の判断を代替するものではありません。JIS は任意規格で、値はメーカー・規格解説の代表値を編纂したものです。厳密な設計や法令適合の判断は、最新の規格原典(JIS Z 9110:2024 / Z 9125:2023)と該当法令、有資格者の判断で行ってください。