直流給電 系統図エディタ(-48V対応) - 使い方ガイド

整流器・分電盤・装置のカードをつないで直流給電の系統図を作図し、区間ごとの電流・電圧降下から必要な線径を自動選定。-48V通信給電(ETSI EN 300 132-2)から24V/12VまでDC全般に対応。登録不要・端末完結。

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使い方ガイド

直流給電 系統図エディタは、整流器(電源)・分電盤・装置のカードをキャンバス上に並べて線でつなぐだけで、 区間ごとに流れる電流と電圧降下を計算し、必要な電線の太さ(線径)を自動で選定するウェブツールです。 単票の電圧降下計算と違い、分電盤で枝分かれする系統全体を一枚の図として組み立て、 末端の装置まで電圧が足りているかを一目で確認できます。

通信機械室の -48V 直流給電(ETSI EN 300 132-2)を主な対象にしていますが、 電源カードの電圧を変えれば 24V・12V・110V といった一般的な直流電源にも使えます。 入力した内容は外部サーバーに送られず、すべてブラウザの中だけで動きます。 作った系統図は端末に自動保存され、URL 共有や PDF 帳票として持ち出せます。

使い方

画面左下の 入力パネル でカードを追加し、キャンバス上でつないで値を入れていきます。

STEP 1 | カードを追加する

入力パネルの「カードを追加」から 電源(整流器)・分電盤(分岐)・装置(負荷) を置きます。 起動時は「整流器 → 分電盤 → 装置 2 台」のサンプル系統が入っているので、値を書き換えるところから始められます。

STEP 2 | カードをつなぐ

カード右側の丸(出力ハンドル)から、つなぎたいカード左側の丸(入力ハンドル)へドラッグすると、 間にケーブル区間の線が引かれます。整流器を起点に、分電盤を介して装置へ枝分かれする放射状の系統で組みます。蓄電池は整流器の左側につなぎます — こうすると停電時に電池ケーブルの電圧降下も計算に入ります。

STEP 3 | 値を入力する

カードや線を ダブルクリック すると、その場に 編集ポップアップ が開きます (1 回クリックは選択・ドラッグなので、配置を動かす操作と干渉しません)。 整流器では 供給電圧・ユニット当たり電流・ユニット数・内部降下・許容下限の基準、 装置では 消費電流(A) または 消費電力(W) BATT給電の有無端子の対応線径(最小/最大 sq)、分電盤では 盤内電圧降下、バッテリーでは 種類・容量(Ah)・最低放電電圧、 ケーブル区間では 線路長(m)・線種・線径 を入れます。 消費電力(W)で入れた装置は、その到達電圧で割って電流に換算します。 装置の端子やコネクタが受けられる線径が決まっている場合は対応線径の範囲を入れておくと、 範囲外の線径が選定・指定されたときに NG として警告します。 線種は左下パネルの 「全区間の線種」 でまとめて変更できます(既定は直流給電で一般的なCV 2心。区間ごとの微調整はその後も可能)。

STEP 4 | 線径と到達電圧を読む

各区間の線には 電流・線径・電圧降下、各装置カードには 到達電圧 が表示されます。 線径を「自動選定」にしておくと、許容電流と電圧降下の両方を満たす最小の線径に自動で決まります。 末端電圧が許容下限を下回る装置は赤く「不足」と表示されるので、線径や線長を調整して解消します。

線径選定の考え方(許容電流 × 電圧降下の2軸)

電線の太さは「電線が焼けない太さ(許容電流)」と「末端で電圧が足りる太さ(電圧降下)」の 両方を満たす必要があります。本ツールはこの 2 つを区間ごとに評価し、太い方を採用します。

各区間を流れる電流は、その区間より下流にある全装置の消費電流の合計です。 直流 2 線式の電圧降下は次式で求めます。

e = 2 × I × R × L

e:区間の電圧降下(V)、I:区間電流(A)、R:導体抵抗(Ω/m、JIS C 3102 の 20℃ 値)、L:線路長(m)。 往復 2 線ぶんを見込むため係数 2 が付きます。各装置の到達電圧は、電源電圧から上流区間の降下を順に引いた値です。

到達電圧は 20℃ 基準の概算です。導体抵抗は JIS C 3102 の 20℃ 値を用いるため、 満負荷で導体が温まると実際の電圧降下は 1〜3 割大きくなることがあります。とくに -48V 系は許容下限まで の余裕が小さいため、判定がぎりぎりのときは線径を 1 段太くするなど余裕を見込んでください。

許容電流は内線規程(JEAC8001)の管路布設・30℃ 基準値を用い、区間電流以上になる最小サイズを選びます。 電線の 種類・心数(IV / HIV / EM-IE 単心、CV 単心 / 2心 / CVD)は 許容電流に効きます — 束ねた多心ケーブルは放熱が悪く許容電流が下がります(例: 5.5sq で CV単心 61A に対し CV-2C 46A)。 一方、電圧降下は導体抵抗で決まり、同じサイズなら線種によらず同じです(導体はいずれも標準軟銅のため)。 末端電圧が許容下限を割る場合は、その経路で最も降下の大きい区間から 1 段ずつ太くして、過不足のない構成に収束させます。 1 区間だけを詳しく検証したいときは 電圧降下計算、布設条件(周囲温度・本数)を加味した許容電流からサイズを選びたいときは 許容電流・ケーブル選定を併用してください。

電源許容下限の目安根拠
-48V 通信給電40.5 VETSI EN 300 132-2
24V DC(既定 5%)22.8 V電源電圧の降下率指定
12V DC(既定 5%)11.4 V電源電圧の降下率指定
任意 DC指定値最低電圧を直接指定

整流能力・バッテリ保持時間・内部電圧降下

系統図には電源容量とバックアップ、盤の電圧降下も組み込めます。

整流器の容量チェック

整流器カードに ユニット当たり電流(A)ユニット数 を入れると、 最大整流能力(= ユニット電流 × ユニット数)に対する通常時の総負荷を比較します。 総負荷が容量を超えるとカードとサマリーが赤く「超過」と表示されるので、ユニット増設の目安になります。 なお整流器〜分電盤の幹線は、将来増設を見込んで整流器容量で太さを決める場合があります。 その区間をダブルクリックして 「電流の取り方」を「整流器容量」 にすると、最大整流能力で 線径・電圧降下を計算します(既定は実負荷)。

バッテリ保持時間

バッテリーカードに 種類(MSE / HS / CS / LHM / LiB) 容量(Ah) を設定すると、停電時に何時間もつかを概算します。

保持時間 = 容量(Ah) × 使用可能率 ÷ BATT給電負荷の合計電流(A)

各装置の 「BATT給電」 トグルで、その装置を停電時に電池が支えるかどうかを指定します。 最近の整流器は出力端子がバックアップ系統と非バックアップ系統に分かれており、停電時に電池が支えるべき 負荷だけを BATT給電に指定します。停電時に電池ケーブルを流れる電流=BATT給電負荷の合計電流となり、 この電流で電池ケーブルの電圧降下を計算します。整流器の容量チェックは BATT給電の有無に関わらず全負荷で評価します。 使用可能率は種類ごとの代表値(放電終止電圧までに取り出せる割合の目安)で、実際は放電率・温度・寿命で増減します。 蓄電池は整流器の左側にケーブルでつなぎます(長さ・線種は蓄電池の編集ポップアップで設定)。停電時は電池が このケーブルを通して給電するため、電流ぶんの電圧降下が母線電圧から差し引かれます。

分電盤・整流器の内部電圧降下と運転モード

分電盤カードの 盤内電圧降下(V) は、ブスバーや遮断器の内部抵抗による降下として、 その盤を通過するたびに差し引かれます。

動作判定は装置ごとのクリティカル条件で固定します。BATT給電有の装置は、停電時に電池が支える=放電終止間際(電池の最低放電電圧)が最悪条件。 この最低放電電圧を母線起点に電圧降下を引いても許容下限を満たすよう設計すれば、停電が長引いても落ちません。BATT給電無の装置は、整流器が落ちれば電池につながっていないので一緒に落ちます=電池電圧は無関係。 したがって通常時の整流器出力電圧を起点に判定・線径設計します。 線径(自動選定)は両条件で必要な太さの厳しい方を採るので、実際に施工する一本の太さになります。

左下パネルの 運転モード 切替(通常/停電)は、電流の流れ・母線電圧・電池線の表示を 平常時と停電直後で見比べるためのもので、上の判定結果そのものは変わりません。「停電(電池)」を選ぶと、給電を失う装置とケーブルが減光(消灯)表示になり、 電池が支えるバックアップ経路だけが点灯するので、停電時にどこが生きてどこが落ちるかを一目で確認できます。 このとき根の電圧が 電池の最低放電電圧 − 電池ケーブル降下 − 整流器内部降下 になり、 整流器カードの 内部降下(停電時) もこのときだけ反映されます。

なぜ通信電源は「-48V」と書くのか

通信用の直流電源は、プラス側を接地(アース)して使うのが一般的です。 基準(0V)をプラス側に置くため、装置から見た給電線の電位はマイナスになり「-48V」と表記します。 プラス接地には、金属の電食(腐食)を抑えやすいといった保全上の利点があります。

電圧降下や線径の計算自体は、極性に関係なく電圧の大きさ(48V)で行います。 本ツールの極性設定はカード表示を「-48V」と見せるためのもので、計算結果には影響しません。

消費電力しか分からない装置: カタログに消費電力(W)しか書かれていない場合は、 装置カードの入力方法を「電力 W」にして W を入れれば、電源電圧で割って電流に換算します。 W ⇔ A の換算だけを単独で確認したいときは 電力・電流換算が便利です。

保存・共有・PDF 帳票

作図した系統図は端末内に自動保存され、次に開いたときにそのまま復元されます。 画面右上の ☰ サイドバー から、系統名の入力・URL 共有・PDF 保存ができます。

URL 共有 は系統図まるごと(電源・分電盤・装置・接続・線長・線種・系統名)を含んだ URL を作ります。 パスワードを付けると暗号化リンクになり、内容はサーバーに送られません。PDF 保存 は、供給電圧や許容下限などの条件、区間ごとの電流・線径・電圧降下、 装置別の到達電圧と判定を A4 1 枚の帳票に書き出します。QR コードから同じ系統図を開けます。

よくある質問