WBGT熱中症指数計算
気温と湿度からWBGT(暑さ指数)を簡易計算し、熱中症リスクを4段階で評価します。
次はこんな計算どうですか?
この計算と合わせて使われることが多いツールです
解説
WBGT(暑さ指数 / Wet Bulb Globe Temperature)は、 気温・湿度・輻射熱を統合した熱中症リスクの指標です。 環境省・厚生労働省が予防基準として採用し、建設・土木・運輸・農業など屋外作業の現場では WBGTに基づく作業管理が事実上の標準になっています。
本ツールは 気温と湿度を入力するだけで、 屋外/屋内の条件に応じた WBGT を即座に計算し、危険度レベル(5段階)と作業時の推奨対応を提示します。 WBGT計で実測した黒球温度がある場合は直接入力でき、より正確な値が得られます。
算出結果は朝礼での作業環境評価や、熱中症対策の発動判断の根拠として PDF 帳票に出力できます。 実際の現在地の暑さ指数の実況値・予測値は、環境省「熱中症予防情報サイト」で地点別に確認できます。
このツールの使い方
- 屋外(日射あり)/ 屋内・日陰を選択
- 気温・湿度を入力(WBGT計やデジタル温湿度計の値、または気象データの値)
- WBGT 指数・危険度レベル・推奨対応が即座に表示される
- 必要に応じて黒球温度を直接入力(WBGT計の実測値がある場合の高精度モード)
- 結果を PDF 帳票として出力し、作業環境評価の記録に添付
入力値・計算結果はすべてお使いのブラウザ内で処理され、サーバーへの送信・保存は行いません。
WBGT(暑さ指数)と気温・体感温度の違い
天気予報の気温(乾球温度)はあくまで空気の温度であり、湿度や直射日光は考慮していません。 体感温度はミスナール式などで風速・湿度を加味しますが、輻射熱は反映されないため 屋外作業の熱中症リスク評価には不十分です。
| 指標 | 考慮する要素 | 主な用途 |
|---|---|---|
| 気温(Ta) | 乾球温度のみ | 日常の天気予報 |
| 体感温度 | 気温・湿度・風速 | 服装・冷房目安 |
| 不快指数 | 気温・湿度 | 屋内の蒸し暑さ |
| WBGT(暑さ指数) | 湿球・黒球・乾球(湿度・輻射熱・気温) | 熱中症予防・作業管理(公的基準) |
湿度70%・気温30°Cの曇天と湿度40%・気温33°Cの晴天では、 気温だけ見ると後者が危険に見えますが、WBGTで評価すると前者の方が高くなることがあります。 汗の蒸発による気化熱放散が湿度で阻害されるためです。
熱中症が起きやすい時間帯と環境
消防庁の救急搬送統計では、熱中症による搬送のピークは午後1時〜3時台(13–15時)に集中します。 ただし湿度が高い日は朝9時以降から搬送件数が急増するため、 「午後だけ警戒」では不十分なケースが少なくありません。
特に危険な条件
- 梅雨明け直後・5〜6月の急に暑くなった日(暑熱順化前)
- 連日の真夏日後に夜間気温が下がらない熱帯夜の翌日
- 風が弱く湿度70%以上の蒸し暑い曇天
- アスファルト・コンクリートからの輻射熱が強い舗装現場
- 密閉空間での溶接・防水・塗装など高温作業
- 休憩所が遠く水分補給の頻度が下がる広い現場
気温・湿度が上がる時間帯ごとに本ツールで WBGT を計算し、 基準値を超える時間帯の重作業を避ける作業計画に活用してください。 類似の現場リスク評価には リスクアセスメント も併用できます。
危険度レベルと推奨対応
日本生気象学会「日常生活における熱中症予防指針」と環境省の暑さ指数運用基準に基づく5段階です。
| WBGT | レベル | 推奨対応 |
|---|---|---|
| 〜21 | ほぼ安全 | 通常の注意で作業可能 |
| 21〜25 | 注意 | 積極的に水分補給 |
| 25〜28 | 警戒 | 30分毎に休憩、水分・塩分補給 |
| 28〜31 | 厳重警戒 | 激しい作業は中止、20分毎に休憩 |
| 31〜 | 危険 | 原則作業中止、やむを得ない場合は頻繁な休憩 |
環境省は WBGT 33 以上で「熱中症警戒アラート」、35 以上で「熱中症特別警戒アラート」を発表します。
作業区分別 WBGT 基準値(順化・未順化)
厚生労働省「職場における熱中症予防対策マニュアル」に基づく代謝率レベル(RMR)別の基準値です。 作業強度が高いほど基準値は低くなります。暑熱順化していない作業員(梅雨明け直後・新入社員・連休明けなど)には、より低い基準を適用してください。
| 作業強度 | 作業例 | 順化者 | 未順化者 |
|---|---|---|---|
| 軽作業 | 軽い手作業、立位での監視 | 30°C | 29°C |
| 中等度作業 | 歩行、普通の速さでの工具使用 | 28°C | 26°C |
| 重作業 | 重い荷物運搬、シャベル作業 | 25°C | 22°C |
| 極重作業 | 非常に激しい活動 | 23°C | 18°C |
※ 暑熱順化には個人差があり、概ね 7〜14 日連続で暑熱環境に曝露することで成立します。 新規入場者・長期休暇明け・夏季初期は未順化者として扱うのが安全です。
2025年6月〜 職場の熱中症対策が義務化
労働安全衛生規則の改正により、2025年6月1日から 職場における熱中症対策が事業者の義務として明確化されました。 建設業をはじめとする屋外・暑熱作業を抱える事業者は、以下の体制整備が求められます。
事業者に求められる主な措置
- WBGT が基準値(環境省・厚労省の警戒以上)を超える作業環境の把握
- 体調不良者を早期発見し、報告・対応する体制の整備
- 休憩場所・水分塩分の準備、作業計画の見直し
- 暑熱順化期間(概ね2週間程度)の配慮と段階的な負荷増加
- 作業員への熱中症予防教育と緊急時対応の周知
本ツールで算出したWBGT 指数と危険度判定は、 朝礼での作業環境評価・記録の根拠資料として PDF 出力できます。 義務化された「環境把握」のエビデンスとして現場日報や安全書類に添付してください。
正式な詳細は厚生労働省「STOP! 熱中症 クールワークキャンペーン」および 改正労働安全衛生規則の通達をご確認ください(参考リンク参照)。
現場での実践チェックリスト
朝礼・作業前
- 当日の気温・湿度から WBGT を算出し共有(本ツールで計算 → PDF)
- 環境省の熱中症警戒アラートの発令状況を確認
- 気温が上がる時間帯に重作業が当たっていないか作業順序を見直し
- 水・経口補水液・塩分タブレットの十分な備蓄を確認
- 新規入場者・体調不良者の有無を全員に申告させる
作業中
- 20〜30分ごとに 200mL を目安に水分補給
- WBGT 警戒で 30 分毎、厳重警戒で 20 分毎に休憩
- ファン付き作業着・冷感インナー・ヘルメットインナーパッドを活用
- 休憩は日陰・送風・冷却シートのある場所で完全に体温を下げる
- 顔色・呼びかけ反応・尿の色(濃い場合は脱水兆候)を相互チェック
緊急時の対応
- 意識がある: 涼しい場所へ移動 → 衣服を緩める → 経口補水液
- 意識がない・嘔吐: ただちに 119 番、首・脇・鼠径部を冷却
- 体温 39°C以上: 水道水を全身にかけ、扇風機・うちわで気化熱冷却
- 救急隊到着まで体温・意識・脈拍を継続観察
WBGT の計算式
屋外(日射あり)
屋内・日陰
湿球温度の近似(Stull 2011)
| 記号 | 意味 |
|---|---|
| Tw | 湿球温度(気温と相対湿度から算出) |
| Tg | 黒球温度(輻射熱を反映) |
| Ta | 乾球温度(気温) |
| RH | 相対湿度(%) |
本ツールは黒球温度の実測がないため、屋外では Tg ≈ Ta + 10°C、 屋内では Tg ≈ Ta として近似しています。 正確な測定には黒球付き WBGT 計の使用を推奨します。
よくある質問
WBGT が何度以上で作業を中止すべきですか?
厚生労働省の基準では、WBGT 31°C 以上は「危険」で原則作業中止です。 28〜31°C は「厳重警戒」で頻繁な休憩が必要、25〜28°C は「警戒」で積極的な水分補給が推奨されます。 作業強度(軽作業・中等度・重作業)によっても基準値が異なるため、上の作業区分別基準値表もあわせて確認してください。
本ツールの計算精度はどの程度ですか?
黒球温度は実測ではなく Ta + 10°C(屋外)/ Ta(屋内)で近似しているため、 濃霧・強風・密閉空間など輻射条件が標準と異なる場合は、WBGT 計での実測値をご利用ください。 目安としては十分な精度ですが、最終的な作業中止判断は現地の実測も併用してください。
入力したデータはどこかに送信されますか?
いいえ。気温・湿度などの入力値も計算結果も、すべてお使いのブラウザ内で処理され、 サーバーへの送信・保存は一切行いません。
熱中症警戒アラートが出ていない日でも危険ですか?
アラートは都道府県単位の最大値で発令されます。 アラート未発令の日でも、現場の風通し・舗装・密閉度などにより ピンポイントで WBGT が「警戒」以上になることは普通にあります。 現場で実測した気温・湿度を本ツールに入力し、その場の値で確認してください。
屋内作業でもWBGTを測る必要がありますか?
必要です。厨房・溶接・塗装・防水など熱源を伴う屋内作業は、 外気温が低くても WBGT が「危険」レベルに達することがあります。 屋内モードで計算するか、WBGT 計での実測を行ってください。
気温と暑さ指数の単位が同じ「°C」なのはなぜですか?
WBGT は乾球温度・湿球温度・黒球温度(いずれも°C)の加重平均で求められるため、 単位は°C ですが意味は気温そのものではなく「熱ストレス指数」です。 気温と直接比較しないようにしてください。
参考リンク
注記
- 簡易計算の限界: 本ツールは気温と湿度から WBGT を簡易推定するもので、黒球温度や風速の実測値を反映した WBGT 計の値とは差が生じます。
- 個人差への配慮: 年齢・体調・服装・基礎疾患・暑熱順化の程度で熱中症リスクは大きく変わります。 基準値は目安として、個々の状況に応じた判断が必要です。
- 法令遵守: 2025年6月施行の改正労働安全衛生規則により、職場の熱中症対策が義務化されています。 現場での正式な作業環境評価には、WBGT 計による実測を推奨します。